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サウジ「攻撃で石油生産半減」 米はイラン関与主張

【ドバイ=岐部秀光、ワシントン=中村亮】中東からの原油供給リスクが広がってきた。サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は14日、国営石油会社サウジアラムコの石油施設に対する無人機の攻撃で生産が日量570万バレル減ったと述べた。世界最大級の石油輸出国サウジの生産量のおよそ半分で、世界の石油供給量の5%以上に相当する。サウジの石油生産の異変は中東産の供給体制の脆弱さを印象づけた。

中東のイエメンで活動する親イラン武装組織フーシは14日、無人機10機でサウジを攻撃したと発表した。ポンペオ米国務長官は同日「サウジに対する100件近くの攻撃の背後にはイランがいる」とツイッターに書き込み、イランの関与を主張した。一方、イラン外務省のムサビ報道官は15日の声明で「無意味で闇雲な批判には意味がなく、理解できない」と指摘して、関与を否定した。

攻撃を受けたのはサウジ東部アブカイクと、クライスにある石油関連の施設だ。アブカイクは、アラムコの本社があるダーランから近く、貯蔵や石油の処理設備が集中する。15日までに火災は鎮火し、アラムコは「攻撃にともなう負傷者はなかった」と指摘した。

アブカイクでは石油精製に伴い副産物として生じる随伴ガスの生産も停止した。かつて油田で燃やされていた随伴ガスはいまや貴重な石油化学製品の原料だ。石化プラントへの原料供給に今後、影響が出そうだ。

アラムコの2大戦略は石油事業の多角化とアジアへの進出拡大。日本や中国、インドなどはサウジが供給する原油だけでなくプラスチックなど石化への依存も強める。中東の混乱はアジア製造業のサプライチェーン(部品供給網)を直撃する。

原油供給へのリスクがどこまで深刻になるのかについては見方が分かれている。14日には米エネルギー省の報道官が、需給逼迫を避けるため「必要ならば戦略石油備蓄(SPR)を放出する用意がある」と表明した。国際エネルギー機関(IEA)は「十分な量の商業在庫がある」と指摘した。一方、15日の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)はサウジ・エネルギー省に近い人物が「施設を強化し最大の能力まで高めるには数週間かかる」と述べたと報じた。

5月以降、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡近くでタンカーへの攻撃が相次ぎ、中東産原油をめぐってはシーレーン(海上輸送路)の安全が焦点となってきた。しかし、リスクは、産油国の石油施設の防御の脆弱さや偶発的な国家間の衝突リスクなど多岐にわたる。

トランプ米大統領は14日、サウジの実力者ムハンマド皇太子と電話で協議し、サウジの自衛力強化への支援を伝えた。

原油は世界経済の減速で需要が減退傾向にある一方、供給面では米国による制裁でイラン産の供給が大きく減った。サウジが主導する石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国は価格下支えのため協調減産を続けている。

需要が減っているのに価格が上がることは、消費国の石油離れを加速しかねず、産油国としても歓迎できない現象だ。

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