高齢者は暑さ気づきにくく 熱中症、周囲の配慮が重要

スコープ
2019/9/16 5:30
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東京23区の屋内で8月に熱中症で死亡した人のうち、9割超がエアコンを使っていなかったことが東京都監察医務院の調査で分かった。死亡者の大半を占める高齢者は自律神経の衰えで暑さに気づきにくいとされ、専門家は家族など周囲の人が気を配るよう呼びかける。エアコンや涼める場所が近くにない場合は、ぬらしたタオルなどを使う予防策が有効だ。

東京都葛飾区のアパートの一室で7日、親子とみられる80代くらいの女性と50代くらいの女性が亡くなっているのが見つかった。部屋の中には扇風機やエアコンなど涼をとる家電はなく、発見時の室温は外気温と同じ29度だった。警視庁は2人が熱中症で死亡した可能性が高いとみている。

東京都監察医務院によると、このケースと同様に8月の1カ月間に屋内で見つかって取り扱われた遺体のうち、死因が熱中症と判断されたものは86人。このうち92%にあたる79人はエアコンを使っていなかった。33人の自宅にはエアコンはあったが、使われていなかったという。全体のうち79人は65歳以上の高齢者だった。

帝京大の三宅康史教授(救急医学)によると年を重ねると体温の調節機能が衰え、暑さを感じにくくなる。「エアコンの効いていない室内でも『暑い』と気づかないまま熱中症に陥ることが多い。認知症の場合はリモコンの操作も難しくなる」(三宅教授)という。

日本気象協会所属で熱中症予防指導員の久保智子さんは「家族ら周囲の人間がエアコンの利用を促してほしい」と指摘する。近年はスマートフォンで遠隔操作できるエアコンも普及している。

独り暮らしの高齢者でも別の場所に住む家族が室温の管理を担うことで熱中症のリスクを減らせる。室温が高くなりすぎると、スマホに通知する機種もある。

涼しい場所に避難するのも有効だ。東京都品川区は2011年の夏から、冷房がある公共施設を「避暑シェルター」として市民へ開放。19年は9月30日まで保健センターなど63カ所に休憩できるコーナーを設け、冷水や麦茶も用意している。

区担当者は「近年の暑さは災害レベル。涼みたいときは避難してほしい」と話し、同様の取り組みは各自治体に広がる。

環境省はエアコンがない状況などでの熱中症予防策をホームページで紹介している。時間を決めて水分を取ることが重要で、他にも水でぬらしたタオルで体を拭くなどの対応で体内の熱を外に逃がすことができるという。

同省担当者は「熱中症は適切な対策を取れば防げる。リスクに応じた行動を各家庭で取ってほしい」と呼びかけている。

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