エーザイ、アルツハイマー薬の治験中止 残り1剤に望み

エーザイは13日、開発中のアルツハイマー病の治療薬候補の臨床試験(治験)を中止すると発表した。米バイオジェンと共同開発中の経口治療薬「エレンベセスタット」で、製品化前の最終治験に入っていた。エーザイとバイオジェンは今年3月にも別の治療薬候補でも治験中止を発表。アルツハイマー治療薬では残る1つの候補薬に望みをつなぐ。
アルツハイマーの治療薬では2018年2月に米メルク、同年6月には米イーライ・リリーと英アストラゼネカが、十分な効果を証明できなかったとして治験を中止した。19年2月にはスイスのロシュが最終段階の治験中止を発表するなど世界中で治験の失敗が続いている。
エレンベセスタットについては、治験データを分析する独立委員会から「治験を継続しても最終的にベネフィットがリスクを上回ることはない」との判断を受けたという。治験の詳細な結果は今後の学会で発表するという。
エーザイはエレンベセスタットのほかに「BAN2401」という抗体医薬を使った治療薬候補の最終治験を進めている。また19年度中には別の仕組みである「タウ」というたんぱくを標的とした新薬候補の治験がスタートする予定で今後もアルツハイマー病治療薬の開発を続ける考えだ。
アルツハイマー病を中心とした認知症は高齢化などで患者数が増加しており、50年には世界で1億3000万人を上回るとされる。世界の製薬企業が競って治療薬の開発を進めているが、多くが失敗に終わっている。米国研究製薬工業協会によると00年以来、独バイエルやリリー、メルク、英グラクソ・スミスクラインなど33社が、6000億ドル以上の研究開発費を投じてきたが、そのほとんどが失敗に終わっていると報告する。
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