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新オークラ、国際水準価格 「東京」新装 1泊7万円

「The Okura Tokyo」のヘリテージルーム(東京都港区)

ホテルオークラは約4年をかけて建て替えた東京都港区の「The Okura Tokyo」(オークラ東京)を開業した。目玉は1泊あたり平均約7万円の最高級ブランド「ヘリテージ」。旧本館の3倍前後で、国内ホテル勢としては強気な値付けで海外の富裕層を取り込む。グローバルにみれば、東京のホテルの価格が「国際水準」に近づく動きでもある。

ホテルオークラは従来、本館と別館を合わせ約800室あった。別館は9月から別のホテルとして運営し、12日に開業した旧本館のオークラ東京は500室の規模になる。

ブランドが2つあり、新設の「ヘリテージ」は140室。7万円の平均客室単価は旧本館の3.5倍に及ぶ。もうひとつの高級ブランド「プレステージ」は2.5倍の約5万円にした。

どちらの価格も東京都内では最高水準だ。帝国ホテル東京(東京・千代田)の3万9500円を大きく上回る。「国内に進出している外資系の高級ホテルとほぼ並ぶ」という。

これまで利用者の6割超を外国人客が占めていたが、稼働率を上げるために団体客を積極的に受け入れていた。この結果、単価は2万円程度にまで落ち込んでいた。

今後は稼働率を無理に追わず、ホテルの価値を高める方針に転換する。価格に見合うサービスとして、たとえばヘリテージでは全室にバトラー(執事)を配置する。標準客室面積は60平方メートルで、一般的な国内の高級ホテルより広い。

東京の客室数は増えているが、稼働率も上がり、価格は上昇している。ホテル専門の英調査会社STRによると、18年の東京地区の平均客室単価は1万8920円で、上昇は7年連続だ。

高級ホテルがけん引している。同社がホテルを6区分しているうち、上位2区分は同年に3万3497円だった。東京のホテル全体の価格よりも上昇率が高く、需要が強いことを示している。

外国人客の増加を受け、とくに都内は外資系高級ホテルの開業ラッシュとなっている。

世界最大手の米マリオット・インターナショナルは20年に、最高級ブランド「エディション」を虎ノ門に開く。ブルガリホテルズ&リゾーツは22年末に八重洲で「ブルガリホテル」を開業し、日本に初めて進出する。

ただ、それでも国際的にみれば、富裕層を取り込む余地はまだある。

米フォーブス誌の19年版の格付けによると、東京の五つ星ホテルの数は4軒で、ニューヨークは10軒、ロンドンは12軒となっている。不動産サービス大手、CBRE(同)の五十嵐芳生リサーチアソシエイトディレクターは「海外の富裕層の中には安いところに泊まりたくないという人も多い」と話す。

ロンドンのある五つ星ホテルは、9月20日から1泊大人2人で予約すると、20平方メートル台の部屋でも12万円以上になる。同じ条件でニューヨークの五つ星を予約すると、50平方メートル台の部屋で16万円以上だ。

第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、都内中心部では外資系の高級ホテルでも海外都市部より安いとして「7万円でも海外富裕層は抵抗感なく宿泊できるだろう」とみている。

「(デフレの続いた)日本は、長い目でみた物価の上がり方が海外より小さい」といい、一部のサービス価格の水準は世界的にみて割安だ。東京のホテルの価格はニューヨークやロンドンに近づく転換期にある。

ホテルオークラと帝国ホテル東京、ホテルニューオータニ(同)は「御三家」と呼ばれる。1960年代に開業したパレスホテル東京(同)は2012年に建て替え、客室単価を当初の3万5千円程度から足元で6万円まで引き上げている。国内ホテル勢が海外富裕層をどこまでとらえられるか。これから競争が本格化する。

国内のホテルの価格は大きくみて二極化する流れにある。オークラ東京に代表される高級化の路線が目立つ一方、ビジネスホテルなどよりも安い市場も広がっている。

米エアビーアンドビーが先行して開拓してきた民泊の市場だけではない。インドの格安ホテル運営最大手、OYO(オヨ)ホテルズアンドホームズも今年、日本に進出。今後、安いサービスの競争が進み、価格帯が広がっていく。

2020年の東京五輪・パラリンピックをひかえ、訪日観光客は増え続けている。18年は3119万人と過去最高だった。東京都内の外国人宿泊者数は延べ2319万人。14年から8割増えた。

中期的にみるとホテル競争に試練が訪れる。CBREによると、19~21年に東京、大阪など主要9都市で新たに開業する予定の客室数は8万室にのぼる。供給量は2割増え、稼働率を85%とすると、東京では1万2千室が供給過剰になると試算している。

東京五輪のあとは大阪万博が控えるなど、ホテル業界からは需要が底堅いとの期待の声が聞かれるが、生き残るためには価格を含めた差別化が一層重要になる。

(長田真美、中藤玲)

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