福井銀と福邦銀提携へ 店舗共通化も「統合、今は白紙」

2019/9/13 20:20
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包括提携の記者会見を終え、握手する福井銀行の林頭取(左)と福邦銀行の渡辺頭取

包括提携の記者会見を終え、握手する福井銀行の林頭取(左)と福邦銀行の渡辺頭取

福井銀行と福邦銀行は13日、包括提携について協議を始めたと発表した。資本提携の協議は進めるが、経営統合については現段階で白紙としている。福井県内では3年半後に控えた北陸新幹線の敦賀延伸で商機が広がる一方、他県の金融機関からの攻勢も強まる。同じ県内金融機関で手を組み、一体となって地盤を固める。事務や店舗の共同化で効率化を進めシェアを向上、地域密着のきめ細かなサービスで生き残りを図る。

同日、福井市内で記者会見した福井銀の林正博頭取は「県内が地盤の金融機関で、経済的なチャンスを生かす気持ちが強いのはこの2行」と話した。福邦銀の渡辺健雄頭取は「切磋琢磨(せっさたくま)して協力すべき所は協力し、地域発展に尽くす」と述べた。協議は半年ほど前から始めていたという。

まず検討するのは店舗やATMの共通化だ。両行で管轄地域が重なる支店は多くあるため、統合して同じ建物内に両行の支店を設ける形式なども想定しているという。バックヤードの事務も共同で行い、浮いた人材は営業や新規事業などに振り向ける。両行が力を入れる法人顧客へのコンサルティング業務や顧客紹介でも連携できると見る。

経営統合については「今のところ白紙」(林頭取)と否定的。基幹系システムについては福邦銀が19年1月に独自システムからNTTデータのステラキューブに移行したばかり。「システム自体が違うからなかなか統合は難しいが、共同商品の開発などの可能性はある」(渡辺頭取)とした。

今後、両行で合同検討チームを作り、具体的な連携策について検討する。両頭取、役員、事務方などそれぞれのレベルでも協議を続けるという。19年度末までには具体的な連携策についてまとめる計画だ。

3年半後の北陸新幹線延伸に向け、地域振興や観光誘致で両行に期待される役割は大きい。特に福井銀は福井駅前再開発事業の事務局を務めるなど、県内トップ行として存在感は抜きんでる。

福邦銀は「庶民のための金融」を標榜し、中小企業や個人事業主の支援に力を入れてきた。ただ同行は60億円の公的資金注入を受けており、今回の提携協議の背中を押した面もあるとみられる。

福井県内では、人口減少が進んでいる。一方で18年には石川県を地盤とする北国銀が27年ぶりに福井県内に支店を開設するなど、他県からの攻勢が強まっていることへの危機感も両行にある。

林頭取は「どれだけ地域に貢献し、福井経済を縮小させないようにするかが地銀の役割。北陸新幹線など、福井ならではの事象を生かしていくための連携だ」と強調した。

 福井銀行の林正博頭取と福邦銀行の渡辺健雄頭取は13日、包括提携に関して記者会見した。主な一問一答は次の通り。

――お互いに提携相手として選んだ理由は。

林頭取「お互いに福井県を地盤としており、立場が同じだから効果も上がるだろうと考えた」

渡辺頭取「両行はそれぞれの特色と期待されている役割がある。それをしっかり果たしながら、地域のため、お客様のために連携していきたい」

――将来は資本提携も検討するとしているが、独禁法上の問題は検討したのか。

林頭取「シェア的にもそんなに大きくならないし、今回は特に考えなかった」

渡辺頭取「過度の競争はいけないが、地域のために適切な競争は必要だ」

――将来、経営統合に進むことはないのか。

林頭取「将来的には分からないが、現段階では白紙の状態だ」

渡辺頭取「人事制度や給与体系、システムなどが異なっている。(統合するなら)そこにかけるコストも考慮しなければならない。まずはアライアンスの中で、効果を上げていくことが大切だ」

――福井県は現状でもオーバーバンキングだという指摘がある。

林頭取「この2行は福井からどこかに行くわけにいかない銀行だ。包括連携の効果を上げることが、オーバーバンキングにならないことにつながると思って(今回の提携を)進めている」

――人員削減は検討するのか。

林頭取「できるだけバック事務を効率化し、余った人材を営業や新規分野に振り向けたいと考えている。規制緩和で新しい業務の可能性が出ている。私案だが、人材派遣や地域商社など(に進出すること)もいいのではないか」

渡辺頭取「自然減は当然あるが、その中でいかに組織を改革していくのかが重要だ」

――現場の反発はないのか。

林頭取「実は取引先なども意外なほどかぶっていない。(包括提携しても)バッティングすることは少ないだろう」

(鈴木卓郎、小口道徳)

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