沼津駅付近の高架化、用地収用大詰め 市裁決申請表明

2019/9/13 18:44
保存
共有
印刷
その他

静岡県と沼津市が推進するJR沼津駅付近の鉄道高架事業で、懸案だった新貨物駅の土地収用問題が大きく動き出す可能性が出てきた。沼津市の頼重秀一市長は13日、未買収用地の明け渡しを求める裁決申請をすると正式表明した。県も足並みをそろえる。だが、収用に反発する住民もいる。長年膠着状態だったため、現在の駅前にふさわしい街づくりができるかという課題も残る。

同日に開かれた臨時記者会見で、頼重市長は18日に県収用委員会に裁決申請の手続きに入ることを正式表明した。頼重市長は「立ち入り調査の時点で裁決申請までいくと考えていた。段階としては必然的な流れ」とした上で「残る地権者に向けてはなお門戸を開き、任意交渉を進めたい」と強調した。

これに先立つ3日、頼重市長は静岡県庁を訪れ、川勝平太知事と非公開で会談した。「市長の姿勢を尊重する」。川勝知事は会談後、記者団にこう語った。裁決申請の期限が20日に迫る中、市と県の足並みがそろい、事業推進を印象づけた。

鉄道高架事業は沼津駅周辺総合整備事業の中核に位置づけられている。計画では貨物駅を原地区、車両基地を片浜地区に移転した上で、駅付近の東海道線3.7キロと御殿場線1.6キロの計5.3キロを高架化する。

ただ、地権者にとっては自分の土地を奪われることになる。県や市と地権者との買収交渉が進まず、膠着状態が続いた。2006年に国の認可を受けたが土地の買収交渉は難航し、一時は川勝知事から貨物駅移転不要論も浮上した。

16年には事業見直しを掲げた大沼明穂氏が市長に初当選したが、就任後は推進に転換。大沼前市長の死去を受けた18年市長選で初当選した頼重市長は事業を推進する考えを示す。

静岡県沼津市原地区の新貨物駅の移転用地

静岡県沼津市原地区の新貨物駅の移転用地

県と市は18年10~11月、土地収用法に基づく立ち入り調査を実施した。市などによると、調査後に地権者19人が売買契約を結び、現時点で買収に応じていないのは8人だという。これまでに用地の取得は94.2%まで進んだが、約5300平方メートルが残る。

県収用委の審査期間はおおむね7カ月とされ、地権者に土地明け渡しの裁決が出た場合、地権者が応じなければ行政代執行による強制収用に移る。

反対する市民団体からは「本当に経済合理性があるのか」といった指摘がある。沼津駅前では13年に西武百貨店沼津店が閉店し、本館跡地の利用は宙に浮いたままだ。一方、今年10月には郊外にららぽーと沼津が開業する。

市などは駅前のにぎわい創出に、人や車の移動をスムーズにする鉄道高架化は不可欠としている。ただ、高架化や施設を造っただけでは活性化は難しい。頼重市長は「民間主導のリノベーション推進など、行政主導ではなく住民を巻き込んだ街づくりをしていきたい」と語る。

▼沼津駅周辺総合整備事業 土地区画整理や市街地再開発などを含め、総額約2000億円にのぼる。防災の向上、魅力ある都市拠点の形成を目的に1987年にスタートした。
 中核となるJR沼津駅付近の高架事業は、市中心部の分断解消や鉄道施設の跡地利用をねらったものだ。2006年に県が国から本体事業の認可を得たが用地取得が進まず、国の公共事業の見直しもあって足踏みしてきた。
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]