秋の瀬戸芸、西側も主役 香川の4島、新会場に

2019/9/13 17:55
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現代アートの祭典、瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)2019の秋会期に向けた準備が本格化してきた。香川県の西側に位置する4島が新たに加わる28日の開幕に向け、国内外のアーティストが作品づくりを進めている。自治体などは観光客の増加に期待を寄せ、夜型観光などを通じて来場者の回遊性を高める。春、夏の合計で来場者数が16年の前回を8%上回る勢いを加速させ、瀬戸内を活性化させる。

瀬戸大橋の西側に位置する本島(香川県丸亀市)では、島民らが5色の糸を使って漁網を編み上げた。アーティストの五十嵐靖晃さんの指導を受けて、編み目がきれいなひし形になるように一人ひとりが奮闘した。

秋会期に向けて制作中の「そらあみ〈島巡り〉」は、春に沙弥島で公開した作品をバージョンアップさせる。新たに9つの島で漁網を編み、春の作品とつなぎ合わせて全長が2倍の120メートルにする。本島の波打ち際に垂直に設置する。

作品は太陽の角度や風の吹き方などで見え方が変わり、編み目から見える景色は春の沙弥島と違う。五十嵐さんは「新しい発見があるはず」と、春に鑑賞した人も再び足を運んでほしいと話す。

春会期に人気を集めた「そらあみ〈島巡り〉」がバージョンアップして秋会期に展示される(4日、本島)

春会期に人気を集めた「そらあみ〈島巡り〉」がバージョンアップして秋会期に展示される(4日、本島)

「日本の古民家を丸ごとアート空間にすることは、面白い」。タイのピナリー・サンピタックさんは本島で、大工の作業場だった空き家の再生に挑んでいる。

作品名は「笠島―黒と赤の家」で、タイの文化を取り入れた飾り付けなどを通じて島の新たな魅力を発信する。食のワークショップも開いて、本島ににぎわいをもたらす考えだ。

タイ出身のアーティストは、自国の文化を取り入れて古民家を再生する(4日、本島)

タイ出身のアーティストは、自国の文化を取り入れて古民家を再生する(4日、本島)

夏の瀬戸芸の会場は直島(香川県直島町)など瀬戸大橋の東側が舞台だった。これに加えて秋会期は県西側の本島、高見島(多度津町)、粟島(三豊市)、伊吹島(観音寺市)の4島が加わる。地元の自治体にとっては、瀬戸芸の来場者に地域の魅力を伝えるチャンスがいよいよ到来する。

三豊市は市内を広く散策してもらおうと周遊ウェブアプリ「みとよクエスト~瀬戸芸の秋編~」の提供を始めた。観光スポットでの写真投稿などでポイントがたまり、獲得ポイントに応じて商品の抽選に参加できる。

観音寺市は夜型観光に力を入れる。映像作品や陶芸の明かりなどを頼りに商店街などを散策する「よるしるべ」を10月25~27日、11月1~3日の計6日間開く。開催日数は前年の秋の2倍で、伊吹島を訪れた観光客に市内で泊まってもらえるように仕掛けていく。

瀬戸芸の春、夏を合わせた来場者数は70万5828人で前回を8%上回った。お盆の時期の台風の直撃で終日休止となるなど、夏場は天候に恵まれなかったにも関わらず、世界的な注目度の高まりで着実に来場者を獲得している。

秋会期は前回より8日間長い38日間の開催で、来場者数が会期全体を通じて104万人だった前回を大きく上回る可能性が高まってきた。1人でも多くの瀬戸内ファンを増やすことが、少子高齢化や人口減に悩むこの地域に活力をもたらす。

(辻征弥)

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