資産運用の指南役、自由な立場で 増える「独立系」

2019/9/14 11:48
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個人に資産運用を助言する独立系金融アドバイザー(IFA)の利用が広がりつつある。IFAは特定の金融機関に属さないため、従来型の対面証券や銀行と比べ独立した立場での提案がしやすい。長寿化に伴い、幅広い年代で老後の資産形成に不安を持つ人が増えている。利用者に寄り添う「助っ人」となれれば、将来の不安払拭の一助にもなる。

資産運用の相談に乗る独立系金融アドバイザー(東京都千代田区のファイナンシャルスタンダード)

資産運用の相談に乗る独立系金融アドバイザー(東京都千代田区のファイナンシャルスタンダード)

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IFA会社Fan(富山市)の東京丸の内店にこの夏、60代の女性が訪れた。「どの投資信託を選べばいいかわからなくて」。対応したIFAは「手数料の安いものを選びましょう」と切り出した。

■元金融マン多く

女性は約30年、対面証券で取引してきた。営業担当の勧めで証券会社にとって手数料収入の高い商品を買い「苦い経験をした」と振り返る。インターネット証券も利用したが投資対象を選ぶのが難しく、セミナーを通して知ったIFAにたどり着いた。「相談しやすく都合のいい商品を売られる心配も少ない」と話す。

別のIFA大手、ガイア(東京・新宿)を訪れた50代の女性は4年前に銀行から相談先を変えた。子どもの教育資金を増やすのが目的だ。これまで担当者の変更がなく「家族のことも含めて踏み込んだ相談ができる」と利点を説明する。

金融庁によるとIFA大手10社の預かり資産は2016年3月末の1778億円から、18年末には約2倍の3520億円に増えた。IFA会社やネット証券がセミナーや無料相談を開催するなどし、認知度は高まっている。資産の多い高齢層だけでなく、30~40代向けのセミナーも多い。

対応するIFAの数も伸びている。日本証券業協会の調べでは19年6月末に約3600人と10年末の1.7倍となった。必要な資格が証券外務員ということもあり多くが証券会社の出身だが、保険会社や監査法人から転じた人もいる。

Fanの安部瑞季東京支店長は3年前、証券会社から転職した。前職では厳しい販売ノルマに追われたが、今では「顧客のことを考える時間が増えた」と話す。同じくIFA大手のファイナンシャルスタンダード(東京・千代田)の中島弘敦さんは前職が銀行。担当地区が頻繁に変わるのが悩みだったが、転勤のない今では顧客に長期の資産形成を見据えた提案をしやすくなったという。

IFAを擁する会社は外部の証券会社と提携しており、利用者はその証券会社に口座を持ち手数料を支払う。手数料は商品ごとに異なるが、例えば販売手数料2%、信託報酬年1%の投信を10万円購入して1年間保有すれば利用者が払う手数料は3千円となる。この6~7割前後がIFA会社の収入となる仕組みだ。

■拭えぬ利益相反

このため、独立した立場のIFAでも収益拡大のため手数料の高い金融商品を販売するといった利益相反の問題は残る。課題解決のため、金融商品の販売手数料ではなく運用資産の残高に応じた手数料へ収益源を切り替える会社もあるが、ガイアなど少数にとどまる。

金融庁が1月に実施した調査では、株などリスクのある金融商品を選ぶ際、金融機関の窓口に相談しない理由を「必要ないものまで勧められそう」と回答した人は50%と最多だった。「金融機関が売りたい商品しか推奨されない」と回答した人も39%いた。独立を保ち顧客に寄り添った提案をすることがIFAの利用拡大に不可欠といえる。

個人の資産活用を啓発するフィンウェル研究所の野尻哲史所長は、「ライフステージに応じて、資産形成から取り崩しまで幅広く助言ができるアドバイザーの育成も必要だ」と指摘している。

■若年層も使いやすく

独立した立場で資産運用を助言する事業者には、IFAの他に「RIA」と呼ばれる投資助言業者がある。商品を売らず提案に徹し、助言料を収益源とする。ただ金融庁の認可を受けるハードルが高いなどの理由で、国内で投資助言業を担う人は少ない。主な顧客が富裕層で、IFAに比べ間口が狭くなりがちという指摘もある。

IFAでも顧客の運用資産の目安を1千万~2千万円と設定するところもあるが、Fanなど数十万円で対応する会社もある。資産をあまり持たない若年層でも使いやすく、IFA大手10社で口座を持つ顧客の5割近くが40代以下だ。各社が開拓に力を入れれば、利用者の裾野は広がる可能性がある。

(川上純平)

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