2019年9月18日(水)

触れた感覚を伝える手術支援ロボット、埼玉医科大学が日本で初導入

南関東・静岡
2019/9/12 18:44
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埼玉医科大学は、新型の手術支援ロボットを導入した。遠隔操作するロボットアームの先端が臓器に触れた感覚を手元のハンドルに伝えられるのが特徴。患者の腹部などに複数の穴を開けて手術器具を挿入する内視鏡手術を、画像からの情報だけでなく触覚を頼りに実施することができる。同大によると同ロボットの導入は日本初という。今後年間400例以上の手術実施を目指す。

新手術支援ロボットは約20カ国で使われている。

顔を画面に近づけると、ズームすることができる。

同大国際医療センターは米トランスエンテリックス社の「センハンス・デジタル・ラパロスコピー・システム」を導入した。これまでに約20カ国で使用され、同センターでも18年5月以降、大腸がんの手術など8例を実施した。19年7月には保険適用が認められ、9月には保険診療での手術を2件実施している。

センハンスは、既に国内でも使用されている手術支援ロボット「ダビンチ」に続く臨床用の手術支援ロボット。外科や婦人科、泌尿器科などでの利用を想定している。内視鏡手術で使われることの多い細い器具を使用できるため「ダビンチでは難しかった子どもの手術にも使える」(同センターの小山勇名誉病院長)との利点がある。

ロボットアームに取り付けた手術器具の先端で患部に触れた際に、その感覚を医師がもつ手元のグリップに伝えることができるのが特徴だ。アームについたセンサーが臓器の硬さや組織を縫い合わせた際の糸の縛り加減などの圧力を感じとり、伝達することで医師はより緻密に手術ができるという。ほかに、手術する医師の目の動きで画面に映す部分を選べたり、左右に持つ器具を持ち換えたりすることもできる。

1台あたりの初期費用は約2億円。従来の内視鏡手術で使う器具をそのままロボットでも使うことができ、新しく専用器具を買う必要はない。ダビンチは「アームの先端部分が一体化しており、改良の度に新しいシステムを買う必要があった」(小山氏)といい、コスト面でも導入しやすい。

新ロボットを取り入れることで、若い外科医の教育の場の提供にもつなげたい考えだ。同大では新ロボットでの手術を数多くこなしてきた医師を客員教授としてドイツから招いてきた。年明けには同センターにトレーニング施設の設置を検討している。現在操作できる日本人医師は1人だが、今後10人程度の医師が操作できるようにする。

小山氏は「ロボットを使えば、医師は無理な体勢をすることなく安全で効率的に手術ができる」と述べる。今後は年間400~500件の手術をロボットを使って実施したい考えだ。埼玉県は医師不足が課題となっており、10万人あたりの医師数が全国で最も少ない。ロボットの導入で働きやすく、先進的な手技を学べる環境が整えば、医師を取り込みやすくなる可能性もありそうだ。

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