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豊島逸夫の金のつぶやき

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米国でもマイナス金利議論、潜在的円高要因に

2019/9/12 11:05
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11日にトランプ大統領が「連邦準備制度(FED)のボーンヘッド(俗語で間抜けの意味)たちは、金利をゼロかそれ以下にせよ」とツイートしたことで、米国でもマイナス金利を巡る議論が活発化しそうだ。

既に、「御大」グリーンスパン元米連邦準備理事会(FRB)議長が「世界でマイナス金利が増えており、米国でも時間の問題であろう」と述べお墨付きを与えた。

サンフランシスコ連銀も2月にマイナス金利を支持する研究結果を発表した。もしFRBが2007~09年にマイナス金利を導入していたら、経済の痛みは軽減され、回復も早まったであろう、との内容だ。独自に開発した経済モデルで検証すると、米国政策金利(FFレート)をマイナス0.75%まで引き下げれば、不況期の底における経済のスラックを半分に軽減するとのことだ。

とはいえ、マイナス金利反対論も根強い。ブレイナードFRB理事は、「マイナス金利が有効とは思わない」と否定的だ。日本と欧州の実例もしばしば引き合いに出される。マイナス金利がインフレ期待を高める効果を発揮していない、と指摘される。

「日本ではマイナス金利がインフレ期待を低めた」「マイナス金利になっても銀行貸し出しは増えない」などの見解が目立つ。さらに、法律的にFRBがマイナス金利を発動することが可能か、との議論も残る。

いっぽう、民間でもJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が10日に「ゼロ金利時代に備える」と語り、ウォール街の話題になった。

欧州では既にマイナス金利の痛みを預金者に「手数料徴収」というかたちで転嫁する事例が増えている。

米国でも、トランプ大統領が強くマイナス金利をFRBに要求すれば、大統領選挙を控える時期に、預金者からの反発は必至だろう。「政治的に劇薬」とされるゆえんだ。

そもそも米国でもマイナス金利が議論されるのは、FRBの利下げ余地が2%ほどしかないからだ。これまで歴史的に利下げサイクルでは平均5%近くの金利引き下げが必要とされたので、明らかに伝統的な金融政策には限界がある。

それゆえ、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、代替的政策手段の一つとして議論される可能性はある。少なくとも、FOMC後の記者会見で質問に出そうだ。

日本にとってもひと事ではない。本日の欧州中央銀行(ECB)理事会でマイナス金利の深掘りが決定されそうだ。対する日銀の「緩和弾薬」は乏しい。そこにFRBまでマイナス金利検討となればマーケットでは日銀緩和負けの円高が蒸し返されよう。既に黒田総裁はマイナス金利深掘りも辞さずとの構えだ。

第二波円買いの仕掛けをもくろむニューヨーク(NY)のヘッジファンドも、日銀金融政策決定会合での黒田発言には強い関心を寄せている。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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