台湾が国防報告書 安保で米接近鮮明、中国の「現状変更」を批判

米中衝突
2019/9/11 19:33
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【台北=伊原健作】台湾の国防部(国防省)は11日、2019年版の国防報告書(白書)を発表した。中国が台湾への軍事圧力を強める状況を詳述し、米国などとの連携を深めて中国に対抗する戦略を打ち出した。台湾への武器売却を積極化するトランプ米政権を中国は強く警戒しており、台湾がアジアでの米中勢力争いの舞台となる構図が浮き彫りになった。

軍関連のイベントで講演する蔡英文総統(8月末、台北市内)=総統府提供

白書は隔年で発表し、独立志向を持つ蔡英文政権で2度目。台湾を取り巻く安全保障環境や中国軍、台湾の防衛体制などを分析している。

厳徳発・国防部長は白書の序文で、3月末に中国軍機が中台の実質的な停戦ラインである台湾海峡の「中間線」を越え、台湾側空域に侵入した問題を指摘した。中国が「台湾海峡の現状の一方的な変更を狙い、国防安全に厳しい挑戦を突きつけている」と警戒感をあらわにした。

今回の白書は新たに「インド太平洋地域における台湾の役割」との項目を設けた。米国や日本、オーストラリアなどと関係を強化してきたと説明し、民主主義の価値を共有する国家との連携を深める方針を示した。

米国は東・南シナ海で軍事活動を拡大する中国への危機感から、域内国家と連携する「インド太平洋戦略」を推進している。6月に米国防総省が発表した同戦略の報告書は、台湾をシンガポールなどと並ぶ「有能なパートナー」と位置づけた。今回の白書で台湾は米に呼応する姿勢を鮮明にした格好だ。

背景には中台の防衛力格差が広がっている現状がある。19年の防衛予算は台湾の約1.2兆円に対し、中国は約18兆円に上る。白書は中国について「台湾を武力侵攻する選択を捨てず、軍備の現代化を加速し(中台の)軍事バランスを崩そうとしている」と指摘した。

トランプ政権は台湾への武器売却を活発化しており、8月にはF16戦闘機66機などを最大約80億ドル(約8600億円)で売却すると決めた。新型戦闘機は台湾側が10年以上にわたり要望してきた。

「国土を守る我々の決意は国際社会の支持を得た。米が戦車やF16戦闘機の売却を発表したことが証明している」。蔡総統は8月末、軍関連のイベントでこう強調した。一方で中国側は米に猛反発し、武器売却の中止を強く求めている。

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