「黄色いベスト」デモ、再拡大狙う動き 年金改革に反発

2019/9/11 19:32
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【フランクフルト=白石透冴】2018年末から19年初めにかけてフランスのマクロン政権を揺さぶった反政権運動「黄色いベスト」で、主催者が再びデモの規模拡大を計画している。年金制度改革が本格協議入りしたことなどを受け、7日のデモでは一部が暴徒化した。経済への影響を防ぎたいマクロン大統領は国民との対話を重視するが、改革のスピードが失われる懸念もある。

フランス各地で再びデモが計画されている(写真は昨年末のパリ市内)=AP

「マクロンは辞任を」「我々はまだ怒っている」。7日、南部モンペリエで約2千人がプラカードを掲げて行進した。一部が暴徒化して警察車両に火を放ち、警官隊が催涙弾で鎮圧を図った。パリでも800人以上がデモに参加し、約90人が拘束された。

デモは北西部ルーアン、南部トゥールーズなどでも行われた。主催者らはネット上で14日に西部ナント、21日にはパリでの大規模なデモを呼びかけている。

黄色いベストは燃料増税への反対をきっかけに18年11月に始まった週末デモ。同12月にはパリの観光名所シャンゼリゼ通りで自動車などが燃える映像が世界中に衝撃を与えた。仏国立統計経済研究所(INSEE)によると、デモの影響で観光客が減少し18年10~12月期の経済成長を0.1ポイント押し下げた。

格差の拡大や所得の伸び悩みをめぐる庶民の不満は政権に向かい、マクロン氏の支持率は一時20%台に落ち込んだ。マクロン氏は18年12月、デモ隊の要求に屈する形で燃料増税の撤回や最低賃金の引き上げを発表し、抗議行動はおおむね沈静化していた。

今回のタイミングで黄色いベストの主催者が活動を活発化させようとしているのは、夏季休暇シーズンが終わり、政府が改革を再開しようとする動きをけん制するためだ。

政権が最重要視するのは職業ごとに42種類に分かれた年金制度の改革だ。複雑な支給基準を一本化し、職業間の不平等を是正する狙いだが、給付減につながるとの労働者らの警戒感が強い。

5年の任期の折り返し地点を迎えるマクロン氏は黄色いベスト運動が急拡大した反省から、対話型の改革に手法を改めた。フィリップ首相は5日、首相府に労働組合や仏経団連(MEDEF)の幹部を集め、年金改革について意見を聴く姿勢をアピールした。

ただ、対話姿勢への転換は改革の遅れにつながる。年金関連法案は当初、19年6月の採決を目指していたが、仏メディアは法案提出が20年夏以降になる可能性があると報じた。

仏紙ジュルナル・デュ・ディマンシュによると、7日のデモの参加人数は仏全土で約7千人。28万人以上が参加した第1回とはほど遠く、世論の広範な支持もみられない。マクロン氏が忍耐強く対話路線を維持できるかが、デモの趨勢を左右しそうだ。

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