高額薬の価格設定見直しも 報酬改定へ議論本格化

2019/9/11 22:09
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厚生労働省は11日、公的医療の対価として医療機関が受け取る診療報酬を2020年度に改定するため、本格的な議論を始めた。遺伝子治療薬など高額な再生医療製品の公定価格(薬価)の決め方の見直しや、医師の働き方改革のために報酬を厚くするかなどがテーマとなる。高齢化が進むなか、医療費全体の伸びをどの程度抑えられるかが焦点だ。

11日に中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)の会合を開き、日本医師会などの診療側と、健康保険組合連合会など支払い側が議論した。

再生医療製品をめぐっては、5月に白血病治療薬「キムリア」が国内最高の3349万円と決まるなど、薬価が高額になることで医療保険財政を圧迫しかねないと懸念されている。

11日は有効性が高ければ原価に一定の割合を掛けて薬価が上積みされる仕組みについて、日本医師会の松本吉郎常任理事が「薬価が著しく高い場合にはなんらかの対応を検討してもよいと思う」と指摘。健康保険組合連合会の幸野庄司理事も「単価が高ければ加算率を下げるべきだ」とした。

今回の改定では医師の働き方改革への対応も焦点だ。厚労省は24年4月から勤務医の時間外労働を原則年960時間以内に抑えると決めた。今は大学病院の9割で残業時間が年1860時間を超える医師がいる。

診療側は「働き方改革を進めるには医療従事者を増やす必要がある」として報酬を手厚くするよう主張している。一方、支払い側の健保連は反発しており、着地点は見えていない。

診療報酬は年間の医療費に相当し、保険料や税、患者の自己負担で賄う。報酬を引き上げると、病院や診療所などの収入が増える一方、国民の負担も増える。

原則、2年に1度改定する。中医協の診療側や支払い側の意見をふまえ、政府は年末までの予算編成作業のなかで、20年度にどれだけ増減させるか改定率を決める。

18年度の改定では、医師の人件費などに充てられる本体部分はプラス0.55%だった。薬の公定価格など薬価の引き下げでマイナス1.74%。合算した全体の改定率はマイナス1.19%だった。今回も年末に向けて激しい攻防が続く。

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