狙われた歓楽街、活気戻る 北九州の頂上作戦5年

2019/9/11 9:42
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北九州市を拠点とする暴力団工藤会のトップを逮捕した頂上作戦から、11日で5年を迎えた。暴力団排除を打ち出した飲食店関係者への襲撃が相次いだ歓楽街は、町づくりの動きが進み活気が戻りつつあるが、構成員は一定数おり、なお警戒は続く。

「鍛冶町・堺町を明るくする会」が、2017年7月に北九州市小倉北区の堺町公園で開催した音楽イベント(同会提供)=共同

「鍛冶町・堺町を明るくする会」が、2017年7月に北九州市小倉北区の堺町公園で開催した音楽イベント(同会提供)=共同

「払わなかったらどうなるか分かってるな」。千店以上のクラブやスナックが密集する北九州市小倉北区の歓楽街にある老舗クラブ。工藤会系組員の男性が営業時間に訪れみかじめ料を要求するようになったのは約10年前だ。70代の男性経営者は断っていたが、組員は行きつけの銭湯にも現れるようになった。「常に行動を監視されている。逃げ場はないと思った」

男性経営者は、市内有数の歓楽街である鍛冶町や堺町の店関係者ら100人以上でつくる団体「鍛冶町・堺町を明るくする会」に所属。抗争事件をきっかけに1981年に発足し、詰め所を設けるよう県警に求めるなど暴力団排除の活動をしていたが、「圧力」は熾烈(しれつ)を極めた。

2003年、鍛冶町にあった高級クラブ「ぼおるど」に手りゅう弾が投げ込まれ従業員11人が重軽傷を負った。12年に暴力団組員の入店を禁止する「標章制度」が導入されると、標章を掲げた店関係者を狙った襲撃が相次ぎ、明るくする会の幹部が管理するビルが放火される事件も起きた。

県警は「堺町特別対策隊」を発足しパトロールを強化する一方、14年9月に元漁協組合長殺害事件に関与したとして工藤会トップの野村悟被告(72)ら幹部を一斉に逮捕した。他の事件も手掛け延べ300人以上の同会関係者を摘発したほか、店を回りみかじめ料を納めていないか聞き取った。

市の調査では、「治安が良い」と答えた市民の割合は昨年、85.2%に上った。明るくする会は安全な町をアピールするため、はしご酒イベントや公園での音楽ライブを開催。男性経営者は「一時半数まで減った客足は、ここ2年で回復傾向にある」と話す。

一方、店関係者に声を掛けていたとして昨年7月、工藤会系組長ら7人が県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された。別の区で追放運動に携わってきた会社経営の男性は「解散するまで危険がゼロになったとは言えない」と防犯カメラを自宅に設置し、警察官に見回りに来てもらっている。

県警は、暴力団排除の活動に携わってきた人や公判の証人らについて100人態勢で保護している。工藤会の県内の構成員はピーク時の半数以下に激減したものの、昨年末時点で依然約310人いる。捜査関係者は「水面下での動きに目を光らせたい」としている。〔共同〕

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