台湾新幹線の南端延伸へ 1900億円、日本企業に商機

アジアBiz
2019/9/10 22:00
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台湾新幹線は日本製の車両を採用している=ロイター

台湾新幹線は日本製の車両を採用している=ロイター

【台北=伊原健作】台湾の蘇貞昌・行政院長(首相)は10日、台湾本島の西側を縦断する台湾高速鉄道(新幹線)の南端の終点を、左営(高雄)から屏東まで延伸すると表明した。総事業費は少なくとも554億台湾ドル(約1900億円)で、開通まで10年以上かかる見通し。台湾新幹線は日本の新幹線技術を採用しており、車両は全て日本製だ。今後、日本勢の商機が広がりそうだ。

「人とモノの流れをつなげ、台湾全体の競争力を高める」。蘇氏は10日に屏東県を訪れ、台湾新幹線の延伸を表明した。

計画では4つのルートを検討中で、554億台湾ドルと費用が最も安い「左営案」が有力視される。左営駅から東に17.5キロメートル延伸し、新たな終点となる新駅までの所要時間は約15分という。屏東は台湾の南端に位置し、人口80万人強の農業県。当局や関係者は延伸を契機に、観光開発や産業誘致などを進める方向だ。

台湾新幹線は2007年、日欧企業の協力を得て開業した。現行の車両は日本の「のぞみ」などが使う700系車両を改良した「700T型」で、川崎重工業日立製作所などが手掛ける日本式だ。利用者の増加や老朽化で20年には1200億円規模の新規車両の調達を行い、日本勢が応札するとの見方が出ている。延伸で利用者が伸びれば、将来的に車両や関連機器の需要が増えそうだ。

台湾は来年1月に次期総統選が迫り、延伸は蔡英文総統が再選するための選挙対策との見方もある。台湾は経済発展が台北などの北部に偏っており、南部では格差拡大への不満が強まる。本来は与党・民主進歩党(民進党)の地盤だが、昨年11月の統一地方選では南部最大の都市・高雄の市長選で野党に敗北した。南部の開発をてこ入れし、地盤を固める構えだ。

延伸事業は交通部(交通省)と、新幹線を運営する当局系の台湾高速鉄路(高鉄)が共同で手掛ける。10日の台湾株式市場では高鉄の株価が前日比3%近く下げた。人口が少ないため事業性が低く、業績の足かせになるとの懸念が出ている。

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