オダギリジョーが長編初監督「挑戦したかった」

文化往来
2019/9/13 17:10
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「せっかく作るなら挑戦したかった。どれだけ難しいことが自分に課せられるかを考えた」

長編第1作「ある船頭の話」(13日公開)を監督したオダギリジョーは力を込めて語った。

「ある船頭の話」でベネチア国際映画祭に参加したオダギリジョー(右)と主演の柄本明
(c) Kazuko Wakayama

「ある船頭の話」でベネチア国際映画祭に参加したオダギリジョー(右)と主演の柄本明
(c) Kazuko Wakayama

確かに挑戦的な映画だ。主人公は山あいの渡し舟の船頭(柄本明)。両岸を行き来する舟、船頭の小屋がある川辺、その周辺だけが舞台だ。様々な人が乗りこむ舟を、船頭は言葉少なにこぐ。近くでは近代的な橋の建設が進む……。

「キャラクターも設定も、余分なものをそぎ落としながら、脚本作りをした」とオダギリ。「大きな物語のうねりがなくても、人間は日々を生きている。小さな喜びや悲しみがたくさん詰まっている。そんな映画を作りたかった」

俳優として海外でも活躍するオダギリに「一緒に映画を作ろう」と声をかけたのは、ウォン・カーウァイ監督作品などで知られる撮影監督のクリストファー・ドイルだった。「1作目だからやりたいことをやらせてもらった。オリジナルの脚本で監督するチャンスをもらえた以上、挑戦しないことには耐えられなかった。常識とされていることからどれだけ外れても、それが映画だと思ってもらえる作品にしたかった」

「アカルイミライ」(2003年)で映画初主演したオダギリには世代的な思いもある。「00年代初めのインディーズ映画は作家性があった。日本映画が多様性をもっていた最後の時代だ。そんなインディーズ映画が作られなくなり、わかりやすい一言で言えるような映画ばかりになった。あの時代を経験できた最後の世代として、今の日本映画に問題提起をしたかった」

今後も「オリジナルにこだわりたい」。だから次回作も「時間がかかるかもしれない」という。「ビジネスとしての映画を作る人はたくさんいる。そこに自分がかかわる必要性は感じない。自分がやれること、やりたいことをやる」

(古賀重樹)

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