新潟県が行財政改革案 歳出、5年で最大640億円削減

2019/9/10 21:00
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新潟県は10日、財政再建に向けた行財政改革行動計画案を公表した。2019年度から23年度までの5年間を計画期間とし、歳出を最大640億円削減する。部局予算の削減や県有施設の見直しのほか、県職員の給与削減にも踏み込む。県の基金残高は現状のままでは22年度末にも枯渇する見通しだ。行動計画に沿って収支改革を進め、財政の立て直しを急ぐ。

行動計画案を決定した県の行財政改革推進会議(10日午前、新潟県庁)

「あらゆる分野で聖域を設けず改革を実施していく」。10日、行動計画案を公表した花角英世知事は、こう力を込めた。「県民に我慢をお願いすることもあると思うが、取り組みへの理解と協力をお願いしたい」と呼びかけた。

県は今年4月、県幹部で構成する「行財政改革推進会議」を設置。有識者会議も設けて、行動計画案の策定に取り組んできた。10日朝に開かれた行財政改革推進会議で最終案を決定した。

行動計画案には、現状のままでは22年度にもゼロになる「財源対策的基金」を、23年度末に230億円確保する目標が盛り込まれた。これは、04年の新潟県中越地震や水害の復旧事業で取り崩した額と同水準で、大規模災害に対応するための最低限の額という。

このために、歳出削減に2つの目標額を設けた。ひとつは5年間で累計435億円。この場合、基金を毎年度取り崩す必要があり、3年後をめどに計画を見直す。

もうひとつの目標額は、収支均衡を図るために必要な640億円。この場合、災害対応の230億円に加え、今後見込まれる公債費の負担増に向け、借金の返済に充てる「県債管理基金」も確保できる。ハードルは高いが、「640億円を目指しつつ、少なくとも435億円は達成できるよう取り組んでいく」(花角知事)考えだ。

具体的な歳出削減策では、まず各部局に割り当てられた予算の1割に相当する30億円程度を削減する。人件費は既に公表している知事20%、副知事15%、部長級職員10%の給与削減に加え、課長級も5%削減することを決めた。その他職員も「今後、臨時的削減を検討する」としている。

全ての補助金を対象に必要性や金額を見直すほか、大規模施設の集約化なども検討する。花角知事は10日、各部局長などに「市町村や関係団体とコミュニケーションをとりながら、前向きな気持ちで創意工夫に取り組んで欲しい」と述べた。

歳入確保策も盛り込んだ。11月から、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の核燃料税の一部税率を引き上げる。使用料・手数料を総点検し、料金引き上げや、使用料を徴収していない公共施設の有料化も検討する。県所有の未利用財産の売却や有償貸付も進める。

行動計画案は11日から県民の意見を公募し、県議会9月定例会での審議を経て、10月にも正式な行動計画として決定する。

財政見通しの甘さ露呈

新潟県の財政は危機的状況に陥っている。県税収入や地方交付税の減額で、歳入が急速に減少。2016年からは歳入が歳出を下回り、県の貯金にあたる基金残高を取り崩している。

今後、財政が悪化する最大の要因は、道路や河川などの公共事業の借金返済にあてる公債費の増加だ。県の公債費の実負担は、地方交付税措置率の見直しの影響で、28年度には現在より200億円多い800億円に近付く。財政規模に対する借金返済の割合を示す「実質公債費比率」は、22年度に18%を超え、県債発行に国の許可が必要な起債許可団体への転落は避けられない見通しだ。

「歳入の減少や将来的な公債費負担の増加に備え、早くから対策に取り組むべきだったが、将来の見通しが十分でなかった」。行動計画案では、これまで改革に着手してこなかった要因についてこう触れている。県の見通しの甘さを露呈した形だ。

今回公表した行動計画は23年度までの5年間。公債費の実負担はその後も増加し続ける。経済情勢や国の財政制度見直しなど、先行きや環境変化も見据えた財政運営は今後さらに重要性を増す。

花角知事はすべての事業をゼロベースで見直す構えだが、県民や関係者の理解を得るのに一筋縄ではいかないことも多いだろう。画餅で終わらせないための確実な実行力が求められている。

(斉藤美保)

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