2019年9月21日(土)

自動運転に「虫」は大敵、ソフトのバグも昆虫も

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自動運転
BP速報
2019/9/10 13:27
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自動運転の「目」となる高性能センサーやカメラを虫から守る(写真:フォード・モーター)

自動運転の「目」となる高性能センサーやカメラを虫から守る(写真:フォード・モーター)

日経クロステック

自動運転車は人工知能(AI)をはじめ、様々なソフトウエアを駆使して走行するため、プログラムのバグ(虫)は大敵である。では本物の昆虫はどうだろうか。人間が運転する車なら、外を飛び回る虫などさほど気にならない。しかし「自動運転車にとって昆虫は大敵である」と、米フォード・モーターの自動運転車開発チームは考えている。

自動運転車は、カメラやセンサーなどが眼となり周囲の環境を認識する。この眼の部分が雨やほこり、鳥のふんや虫によって汚れると周囲認識能力が急に低下する。自動運転車が安全に走行するためには、周囲環境を認識する高度なセンサーと、それらがどんな環境でも動作するようにするツールが必要だ。

フォードはそのツールを開発した。虫については、動物学者のマーク・ホステトラー氏の協力を得て、走行中のクルマに接触する昆虫の種類とその頻度を調査した。調査結果を基にして、最初の研究では、カメラやセンサーに付いた虫を取り除く方法より、虫そのものを寄せ付けない方法を考えた。

カメラや高性能センサー「LiDAR(ライダー)」、レーダーなどをルーフに取り付ける「ティアラ」と呼ばれる支持台部分を活用し、カメラのレンズ近くの穴から空気を噴射する。これがエアカーテンとなり、カメラのレンズに虫が接触しないようにした。テストの結果、ほとんどの虫がカメラのレンズに近づくのを防ぐことができたという。

■センサー不具合は人命にかかわる

しかし、この方法では完全に虫をよけることはできず、状況によっては虫がエアカーテンを通過することがあった。そのため、レンズやセンサー部分をクリーニングする方法が必要だと判断した。

自動運転車は繊細な技術を多く搭載するため、毎日、隅々まで洗車するというのは実用的ではない。そこで、ティアラに高機能の洗浄システムを取り付けた。カメラレンズやセンサーのそばに洗浄用ノズルを配置し、ソフトウエアアルゴリズムで汚れが付着したと判断すると、汚れに焦点を合わせて洗浄液を噴射し、その後、素早く乾燥させるため空気を噴射するシステムだ。

自動運転車のセンサー不具合は、人命にかかわる重要な課題である。開発チームは、このシステムの有効性をテストするため、多くの時間を費やした。最初のテスト車両は、米ミシガン州西部の国有林を走行し、虫の群れに対するクリーニングシステムの作動状況を確認した。現在、第3世代の自動運転試験車にこのシステムを搭載し、デトロイトやピッツバーグ、マイアミ、ワシントンDCなど、異なる環境でテストを継続している。同社は虫対策の構造や洗浄システムに関して約50件の特許を出願しているという。

(ライター 櫛谷さえ子)

[日経 xTECH 2019年9月9日掲載]

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