震災遺構の学校、整備に差 地元住民との協議に時間も

2019/9/10 9:29
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東日本大震災で1万人超が犠牲となった宮城県で、被災した学校のうち少なくとも5つの校舎が震災遺構として保存されるが、整備の進み具合に差が出ている。公開が始まり多くの人が訪れる校舎がある一方、児童が犠牲になり遺族や住民の理解に時間がかかる場合や、保存方法を巡り意見に隔たりがあるケースもある。岩手、福島両県ではまだ、整備を終えた校舎はない。

津波で児童と教職員が犠牲になった宮城県石巻市の大川小校舎(7月)=共同

2017年4月に開館した仙台市の震災遺構、荒浜小校舎(8月)=共同

宮城県石巻市で児童74人と教職員10人が犠牲になった大川小校舎。2015年の市の調査によると、学校の地元では解体を求める意見が最も多く、市民全体では保存を求める意見が上回った。

遺族には「思い出すのがつらい」と保存に反対する声も根強かったが、市は保存を決定。沿道から校舎が見えないようにし慰霊の場を設ける。19年度末の完成を目指したが、周辺道路の計画見直しなどで約1年ずれ込む見通しだ。

同市の門脇小は、9月末から校舎中央部を残して両端部を解体する。地域の理解を得て進めたつもりだったが今年、住民が実施したアンケートでは8割以上が全体保存を求めた。住民側は「時間がたち意向が変わった」と主張。市側は方針変更はせず工事を始める。

児童や住民ら計90人が校舎屋根裏に逃げ助かった同県山元町の中浜小では7月に工事を開始。町担当者は「大勢の命を救った校舎で、保存を望む声が多かった」と話す。

既に公開している仙台市の荒浜小、宮城県立気仙沼向洋高の旧校舎は内部を歩いて見学でき、県内外から視察が相次ぐ。岩手県では20年度中に陸前高田市立気仙中の整備が終わる予定。福島県では浪江町立請戸小が保存される見通しだ。

兵庫県立大大学院の室崎益輝教授(防災計画)は「学校は地域にとって大事な場所。行政は時間とともに住民の考えが変わることも念頭に、住民に寄り添って意見を聞くべきだ」と強調した。〔共同〕

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