計画運休、正解どこに? 想定外れて再開遅れ

2019/9/10 0:10
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在来線の運転見合わせを示すJR東京駅の電光掲示板(9日午前)

在来線の運転見合わせを示すJR東京駅の電光掲示板(9日午前)

台風15号は9日午前、強い勢力を保って関東を縦断し、週明けの首都圏の交通は大きく乱れた。JR東日本は在来線全線で始発から「計画運休」を実施した。午前8時ごろには運行を開始する計画だったが、一部の路線で復旧・点検が遅れて運転見合わせが長引いた。2020年に五輪・パラリンピックを控える首都の弱点が改めて浮き彫りになった。

JR川崎駅では、京浜東北線が倒木などの影響で午前11時ごろまで再開せず、東海道線も飛来物の影響で全線の再開に午後1時ごろまでかかったことから、乗客が昼すぎまで長蛇の列をつくった。

台風15号の影響で首都圏のJR在来線で「計画運休」が実施され、新浦安駅で運転再開を待つ人たち(9日)=共同

台風15号の影響で首都圏のJR在来線で「計画運休」が実施され、新浦安駅で運転再開を待つ人たち(9日)=共同

午前8時ごろに出勤しようとした会社員の女性(30)は3時間以上待ったところで会社から在宅勤務の指示を受け、帰宅した。「午前8時に運転再開見込みと聞いたから家を出たのに長時間待たされた。(JR東の)見通しは適切だったのか」

JR東日本は8日午前に台風の進路予想を見ながら9日の運行について検討を始め、8日午後4時半には首都圏の全ての在来線で9日の始発から午前8時ごろまで運転を見合わせると発表した。

18年秋の台風24号で初めて計画運休を実施した際は午後8時からの運休を当日正午ごろに発表し、混乱が生じた。その後「今後はできるだけ前日の段階で発表したい」(深沢祐二社長)との方針を示していた。

しかし、今回の台風では多くの路線で計画の午前8時に運行を再開できず、再開を見込んで駅に集まった多くの乗客が待たされることになった。同社は「乗客の利便性を考慮し、倒木などのリスクも考慮して午前8時というめどを示したが、想定より台風の進みが遅かった」と説明した。

東京メトロの運行情報を示すスマートフォンサイトの画面(9日午前8時15分時点)

東京メトロの運行情報を示すスマートフォンサイトの画面(9日午前8時15分時点)

9日は東京メトロや東急、小田急など他の鉄道会社も始発から運転を見合わせた。事前に運休が予告されたこともあり、交通の乱れに柔軟に対応した企業も多かった。

楽天は毎週月曜日の午前8時から開いている全体集会を10日に延期し、8日午後のうちに全社員に連絡した。NTTドコモは関東甲信越で働く約4万人に対し、安全確保を優先して出勤が難しい場合はフレックス制度や在宅勤務を活用するよう呼びかけた。KDDIも柔軟に出勤時間を判断するよう事前に呼びかけ、各部署の判断でテレワークや時差出勤も含めて対応するようにした。

計画運休は鉄道各社の間で定着してきているが、判断や発表のタイミングにはバラツキがある。

高木亮・工学院大教授(電気鉄道システム)は「状況を見ながら頻繁に列車を止めたり動かしたりするより、計画運休を実施した方がスムーズに対応できる」と説明。ただ、今回の台風への対応については「事前の想定が甘く、再開のめどを何度も繰り下げるなどしたために混乱が拡大した」と指摘する。

多くの外国人が訪れる2020年東京五輪・パラリンピックの期間中に同様の事態が起きれば、さらに大きな混乱も懸念される。高木教授は「ICT(情報通信技術)も活用しながら、効率的な列車の動かし方や乗客への周知方法を早急に検討すべきだ」と話している。

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