迫る会社員保険料30% 健保連「22年危機」と改革訴え

2019/9/9 21:54
保存
共有
印刷
その他

健康保険組合連合会(健保連)は9日、大企業の会社員などが入る健康保険組合で2022年度にも医療・介護・年金を合わせた社会保険料率が初めて30%(労使合計)を超えるとの推計を発表した。政府の20年度予算の概算要求では社会保障費の伸びが一時的に鈍るものの、健保連は団塊の世代が75歳以上になり始めるタイミングを「22年危機」と位置づけて、政府に改革を求める。

「料率30%時代が迫っている」。9日に開いた会見で、健保連の河本滋史常務理事は危機感をあらわにした。

試算によると、22年度に全国約1400の健康保険組合の健康保険料率は平均で9.8%と19年度比で0.6ポイント上昇する。介護保険料率は2.0%で0.4ポイントの上昇だ。

これに段階的な引き上げが17年9月に終了した厚生年金の保険料率18.3%を足すと、料率は30.1%になる。少なくとも07年度以降は上がり続けており、負担水準は3割弱の増加となる。

「現役世代への負担増は限界ではないか」(健保連の佐野雅宏副会長)。健保連として財政悪化が急速に進む「22年危機」を前に、現役世代と高齢者世代の負担のバランスを是正することが急務だと訴えた。

会社員が払う健康保険料には、65歳以上の高齢者にかかる医療費を賄うための拠出金が含まれている。18年度の拠出金は3兆4537億円になり、健康保険組合に加入している会社員や家族への給付費約4兆円と比べると「仕送り」の重さがよくわかる。

10年度を振り返ると、拠出金が約2兆6千億円に対し、給付費は約3兆4千億円だった。健保連は22年度に拠出金と給付がほぼ同水準となり、25年度までに拠出金が給付費を超えると予測する。

健保連は政府に高齢者医療費の構造を早期に改革するよう求めてきた。後期高齢者の患者負担を原則1割から2割に引き上げることが訴えの柱だ。9日には2割負担を導入すれば1年あたり、健保連の拠出金で約200億円、公費で約800億円の抑制効果があるとの試算も明らかにした。

20年度予算の概算要求では、高齢化に伴う社会保障費の伸びが5300億円と19年度から700億円縮小した。第2次大戦中や終戦直後に生まれた人が相対的に少なく、後期高齢者の増加が一時的に鈍るためで、大きな改革に向けた議論も起こっていない。

もっとも団塊の世代が後期高齢者になり始める22年度からは社会保障費は膨張する。政府は内閣改造後にようやく社会保障改革に乗り出す。新たに有識者会議を立ち上げるが、予防医療もテーマになる見通しだ。健保連の危機感と裏腹に、給付と負担の見直しという改革の本丸はぼやける懸念がある。

健保連は9日、1394組合の18年度の収支状況も発表した。赤字組合数は前の年度より157減って423組合となった。全組合を合算した収支は3048億円の黒字で、前年度より1697億円増えた。被保険者数の増加に伴い保険料収入が増えたことなどが影響したが、健保連は「22年危機を前にした一時的な黒字決算」としている。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]