8月の街角景気、製造業冷え込む 増税後に増す不安

2019/9/9 20:07
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製造業の景況感が急速に冷え込んでいる。内閣府が9日発表した8月の景気ウオッチャー調査によると、製造業の景況感を示す指数が東日本大震災直後にあたる2011年5月以来の低い水準に落ち込んだ。米国と中国の貿易摩擦を受け、半導体などで受注がさえないとの声が目立つ。消費税の引き上げを10月に控え、内外需ともに経済の不透明感が強まっている。

調査は毎月25日から月末にかけて、景気に敏感な業種の経営者や現場担当者など約2千人に実施している。8月は景気の現状を示す現状判断指数(DI、季節調整済み)のうち、製造業が38.8と前月に比べて2.5ポイント下がった。低下は2カ月連続だ。

米中貿易摩擦や中国経済の減速が影を落としている。「分野によって受注状況が減少に転じている」(北陸のプラスチック製造業・企画担当)、「半導体関連は依然重い動き」(九州の電気機械器具製造業・取締役)など厳しい声が目立った。

非製造業や家計などを合わせた全体の現状判断指数は前月から1.6ポイント上がり、42.8となった。上昇は4カ月ぶりだ。ただ、7月の指数は長雨などが響き、前月比2.8ポイントの低下と大きく落ち込んでいた。8月も製造業の停滞が続き、7月の落ち込みを取り戻せなかった形だ。

8月の街角景気について、内閣府は「このところ回復に弱い動きがみられる」との判断を据え置いた。先行きについては「消費税率引き上げや海外情勢などに対する懸念がみられる」との見方を示した。

10月の消費税率引き上げが迫り、一部では駆け込み需要が出ている。「高額品の動きが活発」(近畿の百貨店・売り場主任)、「8月下旬から駆け込みで秋冬物を求める客が見受けられる」(九州の衣料品専門店・店員)などの声が聞かれた。駆け込み需要は、増税直前の9月にかけて盛り上がる可能性もある。

ただ、先行きの見方は厳しい。2~3カ月先の景気の見方を示す先行き判断DIは、前月比4.6ポイント低下の39.7となり、前回の消費増税直前の14年3月以来の低水準となった。10月の増税後は個人消費が落ち込む懸念がある。日韓関係の急速な悪化も、韓国人観光客が多い地域では不安材料だ。

SMBC日興証券の宮前耕也氏は「前回の増税時よりも、消費に対するマインドが悪い。駆け込み需要と反動減は小さくなると見るが、小売業者などでは増税後も消費の低迷が続くことへの警戒感が強いのではないか」と見る。

政府はキャッシュレス決済に伴う還元策などで消費の下支えをしようとしている。ただ、製造業を中心に企業活動が停滞すれば、賃上げの勢いは鈍る。外需の回復が遅れれば、堅調に推移してきた内需の足を引っ張る恐れがある。

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