1億通りのカレー「インドでも勝算」 ココイチ社長
ナゴヤの名企業 新戦国時代 第3部 外食(4)
「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)を運営する壱番屋は海外展開を急いでいる。現在、売り上げの1割以上を海外で稼ぎ出すが、2020年には現在比1割増の海外200店体制を確立し、カレーの本場のインドにも出店予定だ。日本と同様に1億通り以上の組み合わせが可能なトッピングを持ち込み、メニューの豊富さを武器にする。戦略について葛原守社長に聞いた。

――インドではどういった商品を展開しますか。
「基本的には日本のココイチと変わらない商品を展開する。ただ、口蹄疫(こうていえき)やBSE(牛海綿状脳症)の関係で豚肉や牛肉が入ったカレーは輸出できない。動物性の食品が入っていないカレーを日本から持って行く予定だ」
「インドは宗教上の理由でベジタリアンが多く、受け入れられやすいと考えている」
――インドはカレーの本場です。チキンやマトンを導入するそうですが、どう差異化しますか。
「選択肢の多さを武器にしていきたい。インドにはトッピングを選ぶカレーは存在しないと聞いている。別の食べ物として売り出していけば一定の市場を獲得できると考えている」
――18年に出店した英国と比べると所得水準が低く市場は未成熟です。
「最初は富裕層をターゲットにする。日本のカレーの良さをどう訴えていくかが鍵になる。04年に出店した中国では女性に焦点を当てた店舗やメニューが消費者をつかんだとみている」
「早くに出店することによってメリットもある。現在、中国や韓国に進出したときに子供だった人が大人になり、親子でココイチを訪れてくれている。時間をかけ作った幅広い層のファンが多店舗展開の礎になっている」
――インド以外の国での展開は。
「昨年出店した英国では早期に2号店3号店を出していきたい。英国を足掛かりにフランスやドイツでも展開したい」
「米国でも現在は西海岸の都市に数店あるだけだが、ゆくゆくはニューユークなど東海岸にも展開したい。空白地を地道に埋めていけばゆくゆくは(日本の現在の店舗数に並ぶ)海外1000店体制も夢ではない」
――海外の主力である中国や韓国での施策を教えてください。
「中国や韓国では日本のカレーが浸透してきたが、マンネリ化の恐れも出てきた。麻辣カレーうどんやスンドゥブカレーなど現地の文化に合わせた商品を期間限定で提供し差異化を図っている」
――国内事業について力を入れていることは。
「原材料費の高騰が続いており、対策を急いでいる。昨年には農業の専門部署を作り、農作物を店舗に供給するビジネスを拡大している」
「すでに愛知県の一部の店舗で自社生産の野菜が使われるようになった。さらにコメの栽培ができないか検討を進めている」
植田寛之が担当しました。