「出社に及ばず」 台風にも強いテレワーク企業

2019/9/9 17:54
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台風15号が9日に首都圏を直撃し、公共交通機関は運休や遅延が相次いだ。朝の通勤時間と重なり、都心の駅では会社への通勤手段を失い、困惑する会社員があふれた。そんななか、テレワーク先進企業は無理な出勤を控えるように事前に注意喚起し、社員も在宅勤務に切り替えて対応した。会社は日常業務が滞ることもなく、社員は通勤で疲弊することもない。オフィスに縛られずに働くテレワークの利点が改めて浮き彫りになった。

■サテライトオフィスの利用、通常の3倍に

「無理して出社せず、テレワークをするなど各自安全第一で行動してください」。台風の首都圏直撃が確実になった8日昼すぎ、テルモは社員に緊急メールを一斉送信した。今年4月に在宅勤務の条件を緩和し、理由を問わず月4日まで誰でも利用できると改めた。自然災害を理由にテレワーク利用を促すメールは今回が初めてだ。

東京都西部に住む男性社員はメールを受けて9日は終日自宅で働いた。「いつもの通勤路線が計画運休の対象になった。大混雑の中を迂回して出社しても疲れ果てて仕事にならない」。

同社は首都圏に4つサテライトオフィスを構える。このうち京王線府中駅に直結するオフィスは、9日に通常の3倍の利用があった。京王線は朝から運転見合わせが続くなど、午後までダイヤが乱れた。渋谷区にある本社などへの出勤を諦めて、多くの社員がサテライトオフィスでの勤務に切り替えたようだ。

電車の遅延や運転見合わせのため混雑するJR新宿駅(9日午前、東京都新宿区)

電車の遅延や運転見合わせのため混雑するJR新宿駅(9日午前、東京都新宿区)

■出社せず在宅で 出勤社員は5分の1

ユニリーバ・ジャパンも時差出勤や在宅勤務を推奨するメールを、8日に役員名で一斉送信した。

同社は2016年に、いつどこで働いても構わない勤務制度「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)を導入している。平日6時~21時の間で勤務時間・休憩時間を自由に選べ、自宅やカフェ、図書館からでも働ける。9日も多くの社員がWAAを選んだとみられ、「出勤社員はいつもの5分の1程度。本社内は閑散としている」(広報担当)。

テレワークに慣れている企業と社員は、緊急時もいつも通りに仕事をこなせる強みがある。

日本マイクロソフトは在宅勤務の利用条件が一切なく、ほとんどの社員がテレワークを経験している。台風15号に関しても、先週金曜日の時点で注意喚起メッセージを全社員に発信。9日は多くの社員が出社せず、テレワークを選んだ。

それでも業務に支障を来したという報告はない。9日開催が決まっていた社内会議も日程を再調整することなく、そのまま開いた。ネットを介した会議が日常になっているからだという。「こんな日に無理して出社する方が仕事の効率が落ちる。テレワーク環境があると、地震や台風、大雪といった自然災害が発生しても、業務が滞らない」(コーポレートコミュニケーション本部)

SCSKも先週金曜時点でリモートワーク活用や時差出勤を促す通知を人事厚生部長名で全社に出した。9日は本社(東京都江東区)もいつもより社員が少なかった。通知を受けてテレワークを社員も選びやすかったようだ。

同社は政府などが主催するキャンペーン運動「テレワーク・デイズ2019」に参加し、約7700人社員のうち約2600人が今夏テレワークを試した。「試行経験があった分、支障なくできた面もある」(広報部)

(編集委員 石塚由紀夫)

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