記録的暴風、関東を襲う 送電線の鉄塔倒壊
9日に関東を縦断した台風15号は、関東南部を中心に記録的な暴風による被害をもたらした。

気象庁によると、9日未明に千葉市で最大瞬間風速57.5メートルを観測した。成田空港のある千葉県成田市で45.8メートル、羽田空港のある東京都大田区で43.2メートルなど、計15地点で観測史上1位の最大瞬間風速を更新した。
千葉県君津市では高さ40メートル以上ある6万ボルトの送電線の鉄塔2基が倒壊した。日本原子力研究開発機構大洗研究所(茨城県大洗町)の敷地内にある高さ16メートルの冷却塔も倒壊した。同機構は環境への影響はないとしている。
東京電力によると、停電は一時約93万軒に上り、9日午後4時半時点でも千葉県を中心に約76万軒で停電が続いた。同社は9日午後の記者会見で「千葉県南部や神奈川県南部などは9日中の全面復旧は難しい」とした。
ソニーは停電を受け、家庭用ゲーム機「プレイステーション4」の生産などを手掛ける木更津サイト(千葉県木更津市)の営業を停止した。停電地域などではセブン銀行や三井住友銀行、みずほ銀行などのATMが一時利用できなくなった。
東京湾内では船の漂流が相次ぎ、橋に接触したり他の船と衝突したりした。空のコンテナが横転するなどし、横浜港の大黒ふ頭と本牧ふ頭は終日閉鎖となった。
東京都世田谷区の路上で倒れているのが見つかり死亡が確認された50代の女性は、風にあおられてビルの外壁に頭をぶつけたとみられる。千葉県市原市ではゴルフ練習場のネットとポールが倒れて民家の屋根が崩れ、住人の20代女性が重傷を負った。総務省消防庁によると、千葉県や神奈川県、東京都などで30人以上が負傷した。住宅被害は140棟だった。