クジラ剥製の修復進む 震災で損傷、岩手へ帰郷願い

2019/9/9 13:55
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2011年の東日本大震災で損傷したツチクジラの剥製「つっちぃ」の修復作業が国立科学博物館の収蔵庫(茨城県つくば市)で進んでおり、順調にいけば来年3月に終わる見通しとなった。震災時は岩手県陸前高田市が管理しており、被災した同市立博物館の再建を待って返還される予定だ。

国立科学博物館の収蔵庫で修復が進むツチクジラの剥製「つっちぃ」(7月、茨城県つくば市)=共同

市は「『帰郷』すれば復興のシンボルとして大切にしたい」(教育委員会)と修復の成功を願う。

つっちぃは全長約10メートルの雌で黒褐色。巨体だが、くちばし状に突き出た口に愛嬌(あいきょう)も漂う。1950年代に千葉県沖で捕獲され、剥製に。陸前高田市の水産高校(現在は閉校)に寄贈された後、市の「海と貝のミュージアム」の展示の目玉として親しまれた。大震災で津波が襲い、海岸から約300メートル離れたミュージアムは全壊。つっちぃも泥水をかぶり、胴体がへこむなど激しく損傷した。

自衛隊や専門家のチームが、がれきの中から「救助」し、修理のため同収蔵庫へ運んだ。水を吸い重くなった体を数カ月かけ乾燥。さびた金具を交換し、陥没部分に詰め物を入れるなど慎重に修復を進めた。現在は湿度や温度を管理した室内で、表皮の細かい亀裂をふさぐ段階だ。

山田格・国立科学博物館名誉研究員によると、ツチクジラは北太平洋に生息し、日本で食用として捕獲されてきた。つっちぃ修復を担当する山田さんは「クジラは表皮が薄く、内部に詰め物を入れると膨らみ、生前の形の再現は難しい。剥製作製の歴史や技術を伝える上でも修復は重要」と強調する。

陸前高田市によると、同ミュージアムは、同じく震災で壊れた市立博物館と一体化した形で再建される。市立博物館は本年度に設計を終え、来年度以降に着工の予定だ。〔共同〕

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