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ラグビーのプロ化 右脳を熱く、国際的スケールで
FIFAコンサルタント 杉原海太

ラグビーW杯
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2019/9/10 5:30
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ラグビー・ワールドカップ(W杯)の開幕(9月20日)が近づいてきた。世界的なビッグイベントだけにわくわくするが、日本ラグビーはW杯後に、現在あるトップリーグ(TL)のプロ化を構想していると聞く。タイミング的には大きな祭りの後、余熱が冷めないうちにということだろう。こちらも夢のある話である。

ラグビーW杯の壮行イベントに集まった大勢のファンの前で肩を組む日本代表選手ら。日本ラグビーはW杯後にプロ化を構想している=共同

ラグビーW杯の壮行イベントに集まった大勢のファンの前で肩を組む日本代表選手ら。日本ラグビーはW杯後にプロ化を構想している=共同

TLのプロ化を考える時、大枠で2つのトピックが気にかかる。一つは中身をどうするかという制度設計の問題。もう一つは議論の進め方というか、プロセスの問題である。

後者でいうと、じっくり腰を据え、いろんなステークホルダーを巻き込んで入念に議論してほしいと思う。拙速は戒めるべきだろう。

ステークホルダーエンゲージメントとは、いろんな立場の人と関係を構築し、対話して落としどころを見つける地道な作業である。オーナー企業やスポンサー、監督やコーチ、スタッフ、選手ら関係者と対話を重ね、希望を吸い上げながら問題点を一つ一つ、つぶしていくのは本当に骨が折れる。相当な熱量がいる。

幸いなことに、プロ化の旗振り役の清宮克幸・日本ラグビー協会副会長は非常に優れたリーダーシップの持ち主と聞く。リーダー不在の対話はただの対話で終わることが多いから、こういう難しい局面で突破力のある人材がいるのは、とてもありがたいことだ。

ただ、カリスマ性のあるリーダーに「すべてお任せ」では、それはそれで困ったことになる。リーグのプロ化のような一大プロジェクトは、それこそ「オール・フォー・ワン」「ワン・フォー・オール」の精神で取り組まないと成功はおぼつかないだろう。

肝はオーナーシップのメリット

制度設計でいうと、これまでのTLは企業内スポーツとして活動してきた。企業が運営費を出し、選手をプロや社員として抱え、オーナーとして全責任を持つ形だ。それをTLは、Jリーグに倣って各チームを分社化させて別法人組織にするつもりらしい。

どんな形でチームを運営していくにしろ、運営の原資や経営人材を提供するのは誰かというオーナーシップが一番の肝になるのは間違いない。裏返すと、ラグビーの側はオーナーシップを持つ側(ほとんどは今のTLに参加する企業だろう)に対して「こんなメリットがある」と説けるだけの材料がなければならない。

メリットはさまざまだ。必ずしも利潤だけとは限らない。今、テレビで「ノーサイド・ゲーム」というラグビーのチームが舞台のドラマが人気を博しているが、ここでも、なぜチームを持つのかという点に関しての対立が物語の底流に流れている。

主人公が働く会社のトップは、企業文化に反映されるラグビーチームの無形の価値を認めている。一方、会社のナンバー2はロジック優先で、チームを金食い虫のコストセンターとしか見ていないかのように描かれる。いずれ、トップが代われば、チームの扱いも変わるリスクをはらんでいるわけである。チームを持続可能なものにしていくには、そういう属人的な対立を超えて、いかにチームに価値を付加していくかが大事だと分かる。

欧州のスポーツクラブはこの点で楽といえば楽だ。コミュニティーをベースに積み上げた歴史の重みがクラブにあり、地域のアセットとしてそこで暮らす人々になくてはならないものと認知されている。日本の場合、そこまでの背景がないので、どうしても人工的にならざるを得ないところがある。

CSRや地域貢献訴えたJリーグ

1993年にスタートしたJリーグがそうだった。企業内スポーツだったサッカー部を地域のクラブにすると訴えた。オーナー企業にメセナ目線を持つことの時代的な意味を説き、企業の社会的責任(CSR)や地域貢献の価値を訴えたのだった。それが当時は斬新で、企業や自治体のハートにも刺さったわけである。

実際のJクラブは大企業をバックにしたクラブもあれば、松本山雅のような大きな責任企業を持たないクラブもある。オーナーシップの形、クラブが存在する理由はクラブによって微妙に、あるいは明確に異なるのだが、地域名プラス愛称という"化粧"が効いて、ある種の統一感を醸し出すことに成功している。

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