空手・清水、ライバル下し優勝 プレミアリーグ
2020年東京五輪の新競技、空手のプレミアリーグ東京大会最終日は8日、日本武道館で各種目の決勝が行われ、形女子で2014年、16年世界選手権優勝の清水希容(ミキハウス)が昨年世界女王のサンドラ・サンチェス(スペイン)を決勝で破って優勝した。

2人の演武が終わり、一度は勝者を示す審判の腕が清水に上がった。ただ、電光掲示板の表示は清水、サンチェスともに27.68点。沸き立っていた観客席が再び静まりかえり、前例のないタイマッチへ突入した。
「まさかここでかと。できれば避けたかった」と清水は振り返る。ただ、心は緩むことなく次に行う形を即決。明らかに腰が浮き、手足のキレが鈍った相手とは対照的に、最後まで自慢のスピードは落ちない。「無心で演武した」と持てる力を体いっぱいに解き放ち、技術点、競技点ともにサンチェスを上回った。
1点差未満の接戦を何度も繰り広げてきた2人。今回勝敗を分けたのは戦略の差だろう。「(延長戦が)いつかはあると思っていた」と清水は日ごろ使用する4つの形に加え、もう1種類も「ジョーカー」として準備。2度実戦で試し、審判の評価をうかがいながら来る日へと温めてきた。
1度目の演武で使用した勝負形は中盤でミスし「勝った感じはあまりない」と反省もある。ただ、今季対戦成績で負け越している世界女王に意地は示せた。「これからも勝ったり負けたりを繰り返すんだなと。良きライバルです」と清水。2人の戦いは1年後の同じ舞台まで続いていく。
(堀部遥)