フィリピン、ミンダナオ島の反政府勢力が武装解除に着手

2019/9/7 23:07
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7日、フィリピンのイスラム武装勢力が提出した武器を見て回るドゥテルテ大統領(右)

7日、フィリピンのイスラム武装勢力が提出した武器を見て回るドゥテルテ大統領(右)

【マギンダナオ州(フィリピン南部)=遠藤淳】フィリピン・ミンダナオ島で7日、同国最大の反政府武装勢力「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」が武装解除に着手し、式典が開かれた。政府との包括和平合意に基づき、兵士4万人が2022年までに武器を手放し、退役する。半世紀にわたる対立で多数の死者を出したミンダナオ紛争が和平へと前進する。

式典はMILFの主力軍事拠点に近いマギンダナオ州旧庁舎で開かれた。ドゥテルテ大統領が出席し、MILFの兵士が提出した約1000丁の銃火器を見て回った。同氏は演説で1000人超の元兵士を前に「武器を手放したことを残念に思わないでほしい。豊かな市民生活を送れるよう政府が支援していく」と呼びかけた。

参加したMILFの元兵士のバニー・ゼロン氏(62)は「15歳の時から武器を手に戦ってきた。この日を迎えられて幸せだ」と喜んだ。

MILFの武装解除は3回に分けて行われる。まず20年4月までに兵士全体の3分の1にあたる1万2000人が武器の提出を完了する。20年中にさらに1万4000人が始め、22年5月までに残る1万4000人が武装解除し、退役する。回収する武器は計7千丁に上る見通し。

ミンダナオ島ではイスラム系住民の一部が分離・独立を求め、50年近く政府と武装闘争を展開してきた。死者は10万人を超えるとされる。政府とMILFは14年に包括和平に合意。18年には和平合意に基づく自治政府の樹立を認める法律が制定された。現在、MILFのムラド議長をトップとする暫定自治政府が設立準備を進めている。

自治政府の樹立決定に次いで武装解除が始まったことで、和平合意は前進する。ムラド氏は6日、コタバト市で開いた記者会見で「武装解除は、兵士が普通の市民に戻る最初の一歩だ」と述べ、和平合意を着実に履行する考えを示した。

政府は武装解除をした兵士に職業訓練などで100万ペソ(約205万円)相当の就業・生計支援策を提供するほか、地域への水・食料の供給などで協力する。和平プロセス担当のガルベス大統領顧問は「新たな生活に武器は不要だと元兵士に実感してもらうことが重要だ」と話した。

ミンダナオの和平プロセスには日本も国際協力機構(JICA)を通じ、兵士に農業技術を教えるなどして長く関わってきた。7日の式典に合わせて日本政府は、軍・警察とMILFでつくる合同治安部隊に駐屯地宿舎10棟、トラックなど車両25台、バイク40台を供与すると発表した。

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