インド月面探査、着陸失敗 宇宙戦略に影

2019/9/7 18:31
保存
共有
印刷
その他

月面着陸機との交信途絶の報を聞くインド宇宙研究機関の職員ら=AP

月面着陸機との交信途絶の報を聞くインド宇宙研究機関の職員ら=AP

【ムンバイ=早川麗】インドが7月に打ち上げた無人月面探査機は7日、軟着陸に失敗した。旧ソ連(現ロシア)、米国、中国に続き世界で4カ国目となる成功を目指していたが、着陸機との交信が途絶えた。インドは人工衛星の撃墜実験に成功するなど宇宙空間での安全保障にも力を入れ、米ロ中に次ぐ勢力として存在感を増してきたが、「宇宙大国」への道は後退した格好だ。

無人探査機「チャンドラヤーン2号」は世界で初めて月の南極付近へ着陸を目指したが、着陸目前に交信が途絶え失敗に終わったもよう。モディ首相は「科学に失敗はない。あるのは挑戦と努力だけだ」と述べ、インド宇宙研究機関(ISRO)の科学者らを励ました。月周回機は正常に動いており、月面の撮影などを行うという。

近年、インドの宇宙開発は成功が続いていた。2008年に初めて月の軌道を回る探査機を打ち上げ、水資源が存在した痕跡を確認する成果を上げた。14年にはアジアで初めて火星の軌道に探査機を投入することに成功した。

宇宙空間での安全保障にも力を入れ、3月にミサイルを用いた人工衛星の撃墜実験に成功した。内閣安全保障委員会は「宇宙防衛局」の設置も承認した。人工衛星の撃墜実験についてモディ首相は特定の国を標的にしたものではないと強調したが、「中国への警告であるのは明らか」(印政策研究センターのブラーマ・チェラニー教授)との見方は強い。

宇宙政策に詳しい鈴木一人北海道大教授(国際政治経済学)は「今回の月探査も中国が人類初となる月の裏側への着陸を達成したことが念頭にある。インドが中国に追いつこうと対抗する動きの一環だ」と分析する。だが今回の失敗で今後の宇宙戦略の見直しを迫られる可能性もある。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]