英、「離脱延期法案」成立へ 議会上院も承認

2019/9/7 0:07 (2019/9/7 1:40更新)
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ロンドンの英議会前で早期のEU離脱を訴える市民ら=AP

ロンドンの英議会前で早期のEU離脱を訴える市民ら=AP

【ロンドン=中島裕介】英議会上院は6日、英国の欧州連合(EU)離脱を3カ月延期することを政府に義務付ける法案を承認した。法案は上下院双方の賛成を得たため、エリザベス女王の裁可を経て、週明け9日にも成立する。EUと合意できなくても10月末に離脱することを最優先課題に掲げていたジョンソン政権にとって大きな打撃となる。

延期法案は、EUと合意した離脱協定案が10月19日までに英議会で承認されなければ、政府がEUに2020年1月末までの離脱延期を申請するよう義務付ける内容だ。ただ離脱延期には英を除くEU27カ国の同意が必要になる。ジョンソン氏が法案の規定通りに延期を申請しても、EUがそれを受け入れずに「合意なき離脱」となるリスクは消えていない。

法案は経済に混乱を及ぼす合意なき離脱を阻止するために野党が提案し、与党・保守党のEU残留派なども支持した。10月末の離脱にこだわるジョンソン氏は法案を「EUとの交渉で主導権を明け渡す『降伏法案』だ」と強く反発してきた。5日の演説でもEUに離脱延期を申し入れるくらいなら「死んだ方がましだ」と語るなど、離脱延期を強く拒んでいる。

このためジョンソン氏は週明けの9日に、4日に議会で一度賛成を得られなかった解散総選挙を議会下院へ再提案する方針だ。選挙日は延期をEUに申請するか判断する期日の前の10月15日を想定している。総選挙を通じて下院で与党が過半数割れしている劣勢を挽回し、延期法案の撤回などで主導権を取り返したい考えだ。

ただ解散には下院の総議員(定数650)の3分の2以上の賛成が必要になる。野党は離脱延期法案が成立しても、「実際に離脱延期が確実になるまで総選挙に臨むべきではない」との声が強まっている。英BBCなどによると、労働党やスコットランド民族党など野党は9日の解散提案に賛成しない方向で一致したもよう。ジョンソン氏の起死回生の一手ともいえる早期総選挙は、実現が難しくなっている。

EU側は合意なき離脱を避けるための離脱延期に理解を示す声は多い。ただ「明確な延期理由が必要だ」という声が大勢を占めており、英側に総選挙や再国民投票の実施を求める声が強まる可能性はある。対英強硬派のフランスのように「いつまでも離脱問題に関わっていると、EU改革が遅れる」という意見も根強く、英側が延期の意思を固めても合意なき離脱の回避は確実ではない。

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