2019年9月15日(日)

韓国大統領「疑惑の側近」任命崩さず 世論は二分
法相候補、疑惑否定 政権の火種に

朝鮮半島
2019/9/6 22:58
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【ソウル=島谷英明】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が次期法相に指名した側近の曺国(チョ・グク)前民情首席秘書官は6日、国会の人事聴聞会で娘の進学などを巡る不正疑惑への関与を改めて否定した。新たな疑惑の噴出が続き、検察が捜査を進めるなかでも、文政権は今のところ近く任命に踏み切る構えを崩していないとみられる。異例の人事は革新勢力の結束を重視しているためだが、今後の政権運営の火種になる可能性もある。

6日、ソウルの国会で開かれた聴聞会で宣誓する曺国氏=聯合・共同

6日、ソウルの国会で開かれた聴聞会で宣誓する曺国氏=聯合・共同

「国民に失望感を与え申し訳ない」。曺氏は6日午前に始まった人事聴聞会で自身と家族に関するスキャンダル騒動を謝罪した。だが娘が高校生の時に医学論文の筆頭執筆者になって名門大入学につながった疑惑などに関しては「私や妻が依頼したことはない」と潔白を主張した。

娘は成績が芳しくないのに奨学金を受領、税金逃れのために私募ファンドに投資し、運用も不透明――。曺氏の周辺では特権的な立場を利用した不正疑惑の表面化が止まらない。足元では新たに、娘の医療専門大学院の受験を有利にしようと自己紹介書に記載した「大学総長からの表彰」が妻による偽造で、曺氏や妻が隠蔽しようとしたとの疑いも浮かんだ。

こうした疑惑も幅広くとりあげた野党議員の追及に対し、曺氏は「わからない」「覚えていない」との答えも連発した。聴聞会は長時間に及んだが、11人を予定していた証人の出席が1人にとどまり、一連の疑惑は晴れぬままだ。

大統領府は人事聴聞会を見極めつつも、「曺候補者は国民に対し十分に釈明している」として、今のところ法相任命に踏み切る方針を崩していないもようだ。

世論調査では5割強が曺氏の法相就任に反対するが、文氏の支持層に限れば9割が曺氏の任命に賛成している。曺氏は革新勢力の中核的な人物で、次期大統領選の有力候補ともいわれる。任命を見送れば、熱狂的な支持層の離反や保守との争いで結束が乱れかねず、引くに引けない人事との側面もある。

だが、検察は曺氏にまつわる一連の疑惑に関する捜査を拡大している。8月27日に関係先を家宅捜索したほか、韓国メディアは近く妻や娘から事情を聴く方針と伝えている。捜査の展開次第では、法相の家族が法令違反の罪を問われる前代未聞の事態となる。曺氏の適格性が改めて問われるだけでなく、政権運営も揺さぶることになる。

検察の捜査は、曺氏が法相になって取り組もうとしている「法務・検察改革」へのけん制との見立ても浮上している。文政権は保守政権下で定着した政策や慣行を一掃する「積弊清算」を進めており、検察の権力にも矛先を向けている。曺氏をめぐる騒動は、保守と革新の衝突先鋭化という韓国の構図を浮き彫りにしている。

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