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楽天誤算、携帯競争に冷や水 通信料下げ足踏みも

楽天は6日、携帯電話事業の説明会を開き、10月を予定していたサービスの本格開始の時期が最長で2020年春まで遅れることを明らかにした。同社は最新技術を使い、携帯通信大手3社より安い料金プランを提示するとみられていた。ソフトバンクなど大手は「2年縛り」の廃止など顧客獲得で先手を打つ。当面は3社寡占体制が続き、通信料金の値下げ競争が足踏みする恐れがある。

楽天は10月からまず限定サービスを始め、利用者を東京23区や大阪市などの5000人に絞り、20年3月末まで利用料金を無料にする。10月1~7日に利用者を募集し、当選者に11日から順次案内する。6日の記者会見で三木谷浩史会長兼社長は「ネットワークが安定的に稼働しているか確認を重ねる」と述べた。

利用者数を大幅に限る主因は基地局の整備の遅れだ。楽天は20年3月末までに3432カ所の自社の基地局を設ける計画だが、総務省によると6日時点の基地局数は586局にとどまる。三木谷社長は「基地局の建設で基幹通信網に接続するオペレーションで多少の問題があった」と認めた。基地局を設置しても基幹網につなぐ光回線の接続工事に手間取っているという。

基地局建設に詳しい関係者は「楽天は当初、常識とはかけ離れたスケジュールで見積もっていた」と明かす。総務省はこれまで3回にわたり整備を急ぐよう行政指導していた。同省幹部も「初めから基地局整備の見通しが甘かった」と指摘したうえで、「無理に始めて利用者に迷惑をかけるよりはマシだ」と語る。

三木谷社長は「オペレーション面の問題はすでに解決している」と話し、「ネットワークの安定稼働が確認できた段階で早急にフルサービスインする」と強調した。早ければ年内にインターネット経由でのサービス利用者の募集を目指す。

3社寡占を崩す役割を期待された楽天のつまずきは通信料金の値下げ競争に影響を与える。

楽天は通信網の構築で、クラウドを使った「仮想化」と呼ぶ技術を世界で初めて通信ネットワークに全面的に採用した。価格の安い汎用サーバーにソフトウエアを搭載し、専用サーバーと同等の機能を持たせられるのが特徴だ。初期コストで3割、運用コストは4割削減できる算段で、消費者に安い通信料金で還元する方針だった。

だが楽天は限定サービスから始め、本格開始の際の料金も6日時点で示していない。割安なプランを期待していた消費者には肩すかしとなる。都内の40歳代の男性は「楽天のプランを見てから機種変更をしようと考えていたのに」と不満げだ。

料金値下げを主導してきた菅義偉官房長官は6日の記者会見で、楽天の携帯事業について、「(楽天の)参入による料金の一層の低廉化やサービスの多様化への国民の期待をしっかり受け止めてほしい」と語った。

スマートフォンの新機種「Rakuten Mini」を手に記者会見する楽天の三木谷会長兼社長(6日、東京都世田谷区)

三木谷社長は「本格サービスのプランでは政府が思っている以上の(価格引き下げ)効果を出せる」と、強気な姿勢を見せてはいる。だが7800万の回線を有するNTTドコモなど大手3社が、当初5000人の顧客しか抱えない楽天に対抗したプランをすぐに出す必要はなくなった。

10月からは端末代金と通信料金の分離を義務付ける新ルールが始まる。端末代金は通信会社からの補助が減り、今より高くなるとみられる。楽天参入を起点とした通信料金の競争が進まず端末だけ価格が上がり、消費者の全体の負担が増える恐れがある。

大手3社は楽天を横目に新ルールを控え、手を打っている。ソフトバンクは6日、ソフトバンクブランドの契約で2年利用を条件とする「2年縛り」を廃止すると発表した。料金プランをシンプルにし、他社からの乗り換えを促す。楽天が掲げてきた「携帯業界をより自由にする」というモットーを奪った形になる。

今秋に発売される新型「iPhone」の商戦にも楽天は参加できず、事実上、大手3社の戦いになりそうだ。

楽天は早期の本格サービス開始を視野に入れる半面、携帯は公共インフラのため安定した運用ができるかも重要だ。楽天が携帯の第4極として根付き、携帯の値下げ競争を起こせるのか。これから半年が正念場だ。

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