新潟・長岡のスタートアップ、「町工場」学生らに開放

2019/9/6 19:46
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互いの技術やノウハウを持ち寄り、製品開発などにつなげるオープンイノベーションの拠点が新潟県長岡市で動き出した。長岡工業高等専門学校の卒業生らが立ち上げたスタートアップ企業の「オープン町工場」だ。行政や企業も支援する。新たな製品や技術の開発、起業を目指す学生らに自社の生産設備を安く開放する。

オープン町工場では学生らも設備を利用できる

マシニングセンターの機能を説明する大石社長

町工場を開設したのはスタートアップ企業、拾壱・ビッグストーン(長岡市)だ。工場の名称は「Tech Launcher(テックランチャー)」。ものづくりの技術を世界に打ち上げるという思いを込めた。

産業用機械などの設計を手掛ける広井工機(長岡市)の元社屋を改装した。長岡高専や長岡技術科学大学の学生らも利用しやすい立地で、市中心部から車で10分余りの長岡市川崎町にある。

建物は地上2階建てで、延べ床面積は約120平方メートル。1階の工房には手動で基礎的な金属加工をできる旋盤とフライス盤が1台ずつ、さらに自動で金属部品を削り出すマシニングセンターがある。2階は設計や試作、交流のスペースで、3次元のCAD(コンピューターによる設計)もある。

マシニングセンター使用は習熟に時間がかかるため、高専などにもある旋盤やフライス盤をまず開放する。拾壱・ビッグストーンの大石克輝社長は長岡高専OBで、自身の経験から「高専には設備が整っているものの、利用できる時間に制約があった」という。

同社では土・日曜日は大石社長が業務でほぼ常駐しており、安全に配慮しながら学生らの要望に対応する。費用負担が大きくならないよう、1日500円程度で利用できるようにする。大石社長は「地域やほかの企業とともに育っていける企業を目指したい」と語る。

この拠点開設には県内外の企業のほか、県の外郭団体、にいがた産業創造機構(NICO)や長岡市もそれぞれ助成金、補助金で支援した。長岡市の長谷川亨商工部長は「様々なアイデアが集まることで大石社長らの事業にもプラスになる。同時に、地元企業との共同開発などにつながれば地域経済が活性化する」と期待を寄せる。

大石社長の母校、長岡高専の竹茂求校長は「(大石社長らは)自分たちの力で地域の支援を獲得した。(拾壱・ビッグストーンに続く)第2、第3のチャレンジが続くよう学生を応援したい」と強調した。

■拾壱・ビッグストーン、小型減速機開発

拾壱・ビッグストーンは2018年11月に設立した。長岡高専を今春卒業した大石社長が5年生在学時、同校を中退した武蔵野大2年生(当時)の野村泰暉副社長と資本金250万円で設立した。従業員7人で、大石社長以外は長岡高専や新潟大などの学生だ。

同社が18年に開発した産業用ロボットの関節に使う小型減速機は、独自技術で低コスト化と高耐久性を両立した。減速機はモーターの回転を歯車などを介して遅くすることで力に変える装置で、産業用ロボットや自動車などに使われている。ただ既存の装置は重くて壊れやすく、価格が高いという課題があった。

同社は複数の歯車を使う「平歯車」型の減速機に比べ、歯車1枚で駆動して小型で軽量化しやすい「サイクロイド減速機」に着目した。従来機の設計を見直すことで耐久力も向上させた。

大石社長は「我々が得意な技術である歯車の装置の効率性を生かし、増速機として発電に活用できないかと意見をもらい、開発プランを練っている。しっかり形にしたい」と次の一手を温めている。

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