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コメダの「タブー」カレーに挑む 中村屋と新メニュー

ナゴヤの名企業 新戦国時代 第3部 外食(2)

今年1月、コメダホールディングス(HD)が運営する「コメダ珈琲店」で長年タブーとされてきたある商品がメニューに登場した。一般の喫茶店では定番のカレーだ。

匂いが他の客の居心地を悪くする可能性があるから――。顧客の店内でのくつろぎを重視するコメダHDにとって、カレーをタブーとしてきた理由は明確だ。だが、少子高齢化などで国内の外食市場の競争環境は厳しさを増している。集客の工夫を迫られたコメダHDが手をつけたのは「いつ来ても同じ」と言われたメニューの進化だ。

「ならば匂いのしないカレーを作れば良いのではないか」。開発チームは、新宿中村屋とルーを共同開発し、香辛料などの材料を整え匂いを抑えた。調理ではルーを温めないようにし、揚げたてのカツに合わせることで加熱による匂いを抑えながら、食べるのにちょうど良い温度で提供できるようにした。

こうして生まれた「カツカリーパン」は順調で、7月にはカレーを使う商品第2弾として「カリーコロッケバーガー」を売り出すなどコメダの新名物に育ちつつある。全店にパンのスライサーを置きパンの鮮度にもこだわったことが奏功した。

コメダHDが運営する店舗数は2019年2月期末に860店と5年で約1.5倍になった。コメダが支持を広げた背景には「いつ来ても同じ」という安定感があった。同社はそこに安住せず、あえてタブーやそれまでのやり方を変えて新商品開発を進めている。新旧の両面作戦で今後も店舗を増やす構えだ。

名物の洋菓子「シロノワール」でも数年前から限定商品の投入を進める。

「来るたびに新しい商品があるように」。コメダHDの調査ではコメダ珈琲店を1カ月に1回訪れるという顧客が最も多い。来店した際にいつも新商品があるよう、盆や年末年始を除き毎月限定商品を展開する。

最も気を配るのが「顧客が頼みやすいメニュー」であること。味が想像しにくい商品名や食材は極力使わない。コメダ珈琲店には高齢の常連客が多い。リンゴやチーズなど誰もが知っている食材を使うのがこだわりだ。

「流行は追わない」。コメダHDの杉野正貴執行役員はそう断言する。新商品の投入を急ぎすぎるとオペレーションがおざなりになり、結局客を待たせる、商品の質を下げる、といったことにつながってしまう。パフェなど工程が複雑な商品がコメダ珈琲店にないのも同じ理由だ。

食品ロスを抑えることにも心を砕く。コメダ珈琲店の期間限定商品は終了時期を明示していない。売れ行きによって販売期間をのばすためだ。店舗ごとに柔軟に対応して食品ロスを減らす。

コメダHDは6月、三菱商事と提携した。これまで磨いてきた「居心地の良さ」を提供する力を土台に海外に挑戦する。新メニュー開発や市場開拓に貪欲に取り組み「変わらないコメダ」を乗り越える構えだ。

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