/

北海道地震1年 各地で追悼、避難生活なお

(更新)
黙とうを捧げる現場作業員ら(6日、厚真町)

最大震度7を観測し、災害関連死3人を含む44人が亡くなった北海道地震は6日、発生から1年を迎えた。大規模な土砂災害などで36人が犠牲となった厚真町では、正午に町民らが黙とうをささげた。道内では今なお980人超が仮設住宅で避難生活を続けており、復旧工事は道半ばだ。

正午の防災無線が鳴り終わると、厚真町の町役場前で宮坂尚市朗町長や70人以上の職員が静かに黙とうした。土砂崩れなどで19人が犠牲になった吉野地区でも、現場作業員ら30人が犠牲者の冥福を祈った。

町役場から約100メートル離れた場所で商店「はまなす」を営む黒崎靖広さん(37)は、防災無線のサイレンとともに店の外に出て、静かに手を合わせた。「1年前のこの時間は店の片付けに追われていたことを思い出した」という。「震災で常連客が何人も亡くなり、悲しい気持ちになった1年だったが、これからは町民としてできることがあればしっかりやっていきたい」と顔を上げた。

1歳上の兄を町内の土砂崩れで失った苫小牧市の女性(60)は「兄は『俺が家族を守る』とよく言っていた。頑固だけど家族思いだった」と懐かしむ。「兄が夢に出てくることもあった。悲しみに明け暮れた1年だった」と振り返った。

北海道厚真町吉野地区に設けられた献花台に花を手向ける男性(6日午前6時25分、北海道厚真町)=共同

山の斜面をコンクリートで補強する工事が行われている吉野地区では6日も朝から重機の音が鳴り響いた。同町で林業を営む森田正司さん(84)は午前9時前に献花台を訪れ、亡くなった4人の友人の冥福を願った。

「突然ああいったことが起こり、1年たった今でも現実が受け入れられない」と胸の内を明かす。土砂崩れでむき出しになった山肌を見つめて「山の緑を取り戻して、厚真の景色を元に戻したい」と話した。

旅行中の北海道で偶然地震に遭遇した福岡県大牟田市の宇佐るみ子さん(49)は、1年の節目に合わせて訪れた厚真町の献花台で手を合わせた。「熊本地震の時もたくさんの人の助けを借りた。そのお返しをしたいと思って来た」。

しばらく滞在して植樹ボランティアなどに参加するつもりといい、「苦しんできた北海道の方たちのために自分のできる範囲で力を尽くしたい」と話した。

北海道地震から1年。土砂崩れが起きた現場では、整備工事が進められている(6日午前、北海道厚真町吉野地区)=共同

元同僚2人を亡くした厚真町の中末吉さん(79)は花を手向け、10秒ほど身じろぎせず静かに祈りをささげた。「住んでいた人が地震後、どんどん厚真を離れているのが悲しい。一刻も早く復興が完了してほしい」と願った。

町役場前の献花台にも、朝から多くの町民が足を運んだ。地震後に生まれた次女(0)と訪れた主婦の藤田眸(ひとみ)さん(27)は介護の前職で先輩だった女性を亡くした。「就職したばかりで何もわからない私に優しく仕事を教えくれた。テレビで犠牲になったと知り、とてもショックだった」と振り返った。

余震の不安から1月の出産までは落ち着かず、夜も眠れない日が続いたという。「1年がたったなんて実感はないが、これからも子どもと厚真に住み続ける」と前向きに語った。

消防士の田中淳一さん(42)は亡くなったフットサル仲間の松下陽輔さん(当時28)を思い出しながら花を手向けた。震災後はつらくて気分が塞いだが、最近は「自分がフットサルを楽しんでいるのを松下さんも見てくれている」と思えるようになったという。この1年間について「特別何かをしたわけではない。普通の日常が一番幸せだと実感する」と話した。

厚真町役場前で献花する宮坂尚市朗町長(左から3番目)ら

宮坂町長は午前10時に記者会見を開き「震災から1年を迎え、新しい目標を立て、この令和の時代に復旧復興の歩みを重ねていきたい」と話した。

町内は現在も165世帯の367人が仮設住宅などで生活している。入居期限は被災から2年。宮坂町長は「1年後に町内に行き先がないという状況には絶対にしない」と、被災者向けの公営住宅の用意を進める決意を述べた。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン