プーチン氏、極東発展へ新計画 人口流出に危機感
東方経済フォーラムで演説

2019/9/5 19:27
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【ウラジオストク=石川陽平】ロシアのプーチン大統領は5日、極東ウラジオストクで開催中の国際会議「第5回東方経済フォーラム」で演説し、極東地域の住民の生活環境を向上させるための新たな社会・経済発展計画に着手すると表明した。国土の4割を占める極東連邦管区で続く人口減少に危機感を募らせている表れで、政権の行方を左右しかねない極東の開発に強い決意を示した。

5日、東方経済フォーラムの全体会合で演説したプーチン大統領=AP

プーチン氏は安倍晋三首相やインドのモディ首相、政府・企業関係者らを前に演説した。2018年までの演説では極東を中心としたロシアのアジア太平洋地域への統合が主なテーマだったが、今回は地域発展を訴える異例の内容となった。

プーチン氏は演説で「極東からの人口流出は半減したが流入が必要だ」として「教育のある若い専門家にとって魅力のある地域になるべきだ」と強調した。豊かな天然資源を埋蔵し、世界の輸送の拠点になりうる極東の生活環境を改善し、地域の発展を急ぐことが不可欠だとの考えを示した。

極東の新たな社会・経済発展計画として、年2%の低利率の住宅ローン導入や、効率的な医療システムの整備、モスクワなど大都市の美術館や博物館の支部を設けるなど教育・文化施設の充実を盛り込んだ。中小の町に働きに来る医師や教師の給与を現在の2倍に増やす計画も明らかにした。

首都モスクワから離れた極東では住環境の近代化が遅れており、高速インターネット網などデジタルインフラの整備を進める。極東専門のベンチャー基金を創設し、スタートアップ企業の育成を急ぐ。エコツーリズムを中心にした観光センターを整備し、24年までに40カ所の空港を再建・整備するとも述べた。

極東連邦管区は海外からの投資の流入で経済成長が続く一方、人口の減少は深刻なままだ。国土の約4割を占めるが、住民数は全人口の5.6%にとどまる。1991年のソ連崩壊から人口の流出が止まらず、90年に806万人だった人口は2018年に614万人(18年に極東連邦管区に編入された地域を除く)と2割以上減った。ソ連時代には厚い手当や高額の給与で住民を引き留めていたが、崩壊後は大都市に移住する動きが加速した。

ロシアではモスクワなど繁栄する欧州部の大都市と、開発が遅れる地方の格差が広がっている。プーチン氏の支持基盤となってきた地方で高まる不満が、政権支持率の低下の一因になっている。極東の人口減少問題を解決できなければ、人口が密集する中国東北部との格差もますます広がり、地政学的な安定を損なう恐れも高まっている。

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