米30州、GAFAを独禁法違反で調査へ
地方もけん制

2019/9/5 15:57
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【シリコンバレー=中西豊紀】グーグルなどGAFAと呼ばれるIT(情報技術)大手への逆風がお膝元の米国で強まっている。複数の米メディアは4日までに、約30州の司法長官が反トラスト法(独禁法)違反で各社の調査に乗り出すと報じた。議会、連邦政府と続いたGAFAけん制の動きは地方にも広がり、各社の今後のビジネスにも影響を及ぼしそうだ。

米紙ワシントン・ポストなどが報じた。2020年の米大統領選挙が近づくなかで野党・民主党はGAFAへの厳しい姿勢を強めているが、今回の調査は共和党の司法長官も交えた超党派での動きとみられる。

具体的な州は明らかになっていないが、6月にはテキサスやアイオワなど41州の司法長官が米連邦取引委員会(FTC)に対しグーグルやフェイスブックを反トラスト法で摘発するよう要請。テキサス州のケン・パクストン司法長官は「大量のデータを持つことで新規参入を妨げている」とIT大手を批判している。

ほかにもアリゾナ州やミシシッピ州の司法長官がグーグルなどについて市場独占の視点から調査する方針を示していた。7月には米司法省がGAFAを反トラスト法違反で調査すると表明しており、地方にも波及した形だ。

米国ではほとんどの司法長官が選挙で選ばれるため、シリコンバレーでは「政治色の強いアピール」(元グーグル関係者)との声もあがる。ただ1990年代に米マイクロソフトが反トラスト法違反の疑いで批判にさらされた際は、複数の州の司法長官らが同社を司法省と共同で提訴し連邦調査の推進役になったとされる。

4日、米グーグルへの制裁金を発表した米連邦取引委員会(FTC)のジョー・シモンズ委員長=AP

4日、米グーグルへの制裁金を発表した米連邦取引委員会(FTC)のジョー・シモンズ委員長=AP

4日にはグーグル傘下の動画配信「ユーチューブ」で子供のプライバシー保護に問題があったとして、FTCなどが1億7000万ドルの制裁金を科すと発表した。この処分にはニューヨーク州の司法長官もかかわったが、この日の声明でFTCは「他の州からのアクションも必要だ」と地方による監視強化を求めた。

米IT大手に対しては、16年秋の大統領選でロシアによる選挙介入を許したとして、まずはフェイスブックとグーグルに議会が批判の声をあげた。18年春にフェイスブックで大量の個人情報流出が発覚した後は、GAFA全体に批判が拡大。司法省など競争政策を担当する連邦当局が動き出す事態に発展した。

あるシリコンバレー企業の幹部は「金融危機後のウォールストリートたたきと同じ波がシリコンバレーに来ている」と足元の動きを分析する。巨大な「GAFA包囲網」が生まれつつあるなか、各社は政府との調整や訴訟対策に経営資源を割かざるを得なくなりそうだ。

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