2019年9月18日(水)

春画展の内幕と排除の歴史に迫る記録映画

文化往来
2019/9/11 6:00
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春画を集めた国内初の大規模展として2015年に東京の永青文庫で開かれ、21万人を動員した「春画展」。その内幕を描く記録映画「春画と日本人」(大墻敦監督)が9月28日、東京のポレポレ東中野で公開される。海外で高く評価され、広く公開されている春画の展覧会の開催がなぜ国内では難航したのか、近代日本はいかに春画を排除してきたか。映画は鋭く迫る。

大墻敦監督のドキュメンタリー映画「春画と日本人」の一場面(C)大墻敦

大墻敦監督のドキュメンタリー映画「春画と日本人」の一場面(C)大墻敦

同展は当初、13年に大英博物館で開かれた春画展の巡回展として企画されたが、国内の主要な博物館が打診を断ったために実現せず、新たな展覧会として小さな私立博物館での開催となった。映画は開催に尽力した研究者や画商らの声を拾い、その苦難の道を明らかにする。

さらに映画は春画の歴史を追う。北斎、歌麿、師宣ら浮世絵師の大半が手がけ、後にピカソはじめ世界の画家に影響を与えたという春画。人々が性に対しておおらかだった江戸時代には、庶民から武家までが楽しみ、縁起物や嫁入り道具としても親しまれた。ところが近代化を急ぐ明治政府は春画を弾圧。作品も版木も燃やされ、名品は海外に流出した。同じ時期に西洋から移入された裸体画が「芸術」として認知されたのに対し、春画は芸術の枠外に置かれ、刑法の定める「わいせつ物」として取り締まられた。底流には根強い西洋コンプレックスがある。

偏見は戦後も続き、国内の春画研究は停滞した。浮世絵研究者たちの苦労話は生々しい。国際日本文化研究センターによる収集活動や1991年の無修正の出版物の実現などで、偏見は徐々に薄れる。しかし現物の展覧会となると現場が乗り気でも、トップが尻込みしたという。

「春画の価値をいち早く発見して、守り育てた人たちの努力を伝えたいと思った」と大墻監督。表現の自由を考える上でも重要な映画だ。

(古賀重樹)

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