米中貿易協議を10月に先送り 閣僚級、電話協議で一致
(更新)
【北京=原田逸策】中国の貿易交渉の責任者を務める劉鶴副首相は5日午前、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表やムニューシン米財務長官と電話し、9月初めにワシントンで予定した閣僚協議を10月初めに先送りすることで米国側と一致した。米中は9月1日に追加関税をお互いに発動しており、協議の条件が整っていないと判断したとみられる。
中国国営新華社が伝えた。米中は共に努力し、実際の行動を取り、交渉に向けて良い環境を整えることで一致した。密接なやり取りを続け、9月中旬に事務レベルの交渉を開き、10月の協議が進展するように準備する。電話には中国の鍾山商務相、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁、国家発展改革委員会の寧吉喆副主任らも参加した。
米中は7月末に上海で開いた閣僚協議で、9月初めに次回の協議をワシントンで開くことで折り合った。ただ、その直後にトランプ米大統領が3千億ドル(約32兆円)分の中国製品に制裁関税「第4弾」をかける方針を表明。中国も750億ドル分の米国製品に追加関税をかけて報復する方針を決めた。関税は9月1日にともに発動した。
中国は10月1日に建国70周年の記念行事を開く予定で、国内では祝賀行事を妨げかねないリスクを排除する動きが進む。習近平(シー・ジンピン)指導部は9月に協議を開き、決裂してさらに米中摩擦が悪化する事態を懸念したとみられる。