最新の市場情報

「※」は20分以上遅延
日経平均株価(円) 22,492.68 +40.82
日経平均先物(円)
大取,19/12月 ※
22,460 ±0

[PR]

豊島逸夫の金のつぶやき

フォローする

香港政府の賭け、つかの間の薄日か

2019/9/5 10:58
保存
共有
印刷
その他

香港の行政長官が「逃亡犯条例」撤回という切り札を使った。デモ参加者が求める「普通選挙の導入」は中国政府が絶対に譲れない条件なので、切り札にはならない。デモ参加者の間には「平和的な抗議活動では条例撤回を引き出すことはできなかっただろう。過激な抗議行動が効いたのだ。今後も先鋭化した抗議デモを続けるべし」との見方が少なくない。

習近平(シー・ジンピン)氏は10月1日の国慶節(建国記念日)前に最悪の事態は回避できた。しかし、一国二制度が揺らぐことは断固として許容できない。「早晩、本格介入の決断を迫られる時期が来る」と金融市場は懸念している。

トランプ氏は当面、安堵しているだろう。中国政府による人権侵害行為が発生すれば看過できず、米中貿易協議も中断は必至となる。これは米国側も本音では回避したい。いっぽう、香港情勢の緊迫が長期化するのは望むところだろう。米政府による香港介入を示唆する「取引カード」を温存できるからだ。

今後のリスクは一部の過激派がこれまで以上の強い抗議活動に走り、偶発的に死者が出るなどの事態に発展することだ。そうなると習近平政権も、直接介入を迫られよう。今回の香港の抗議デモは、明確なリーダーが不在で、参加者も幅広い。それだけに鎮圧するとなっても容易ではない。だからこそ地政学的リスクに敏感に反応する金市場では、条例撤回の発表直後は一時1トロイオンス=1530ドル台まで急落した後、1550ドル台まで買い直された。「危機ライン」と見なされる水準での攻防になった。ニューヨーク金市場には「ここが正念場」との緊迫感がみなぎる。

香港情勢は習近平政権の根源を揺さぶる事態になりかねないので、ブレグジットやイラン問題より重要視されている。過去にも数々の地政学的リスクが勃発する過程で、安易な政治的妥協がかえって混乱を悪化させる事例を見せつけられてきた。それゆえ「つかの間の薄日」に警戒感を強める姿勢が顕在化しつつあるのだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

豊島逸夫が語り尽くす 金 為替 世界経済

出版 : 日経BP社
価格 :1026円(税込み)

日経電子版マネー「豊島逸夫の金のつぶやき」でおなじみの筆者による日経マネームック最新刊です。

豊島逸夫の金のつぶやきをMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップマーケットトップ