英下院で首相の解散提案成立せず 野党の大半が棄権
【ロンドン=篠崎健太】英議会下院は4日夜(日本時間5日未明)、ジョンソン首相による下院解散の動議を採決したが、成立に必要な3分の2以上の賛同数に達しなかった。野党が提出した欧州連合(EU)からの離脱延期法案が下院で同日可決されたのを受け、10月末の離脱実現へジョンソン氏が総選挙の前倒しを求めていた。野党は目先の「合意なき離脱」の回避を優先して大半が棄権した。
下院は4日、EUとの合意がないまま離脱が強硬されるのを防ぐため、離脱期限を2020年1月末に延期する申請を政府に義務付ける法案を可決した。ジョンソン氏は直後の演説で「EUに主導権を渡すものだ」と批判し、解散総選挙を提案。EU首脳会議の直前にあたる10月15日投開票とする日程を示していた。
これに対し、最大野党・労働党のコービン党首は「離脱延期法を通してから総選挙に賛同する」と述べた。政権奪取へ総選挙には前向きだが、離脱延期法案を上院でも通して合意なき離脱を遠ざけてから解散に応じる考えを示した。
英下院は5年の任期固定制で、任期途中の解散には全議員(定数650)の3分の2以上が同意する必要がある。