イラン大統領、原子力の研究解禁 濃縮には踏み込まず
核合意の義務停止「第3弾」
【テヘラン=岐部秀光】イランのロウハニ大統領は4日夜(日本時間5日未明)、イラン核合意の義務停止「第3弾」として、次世代の遠心分離機を含むすべての研究開発についての制限を解除すると述べた。事前に警告していたウラン濃縮レベルの大幅な引き上げには踏み込まず、欧州連合(EU)など国際社会との協議に望みをつないだものとみられる。
米国が2018年に一方的に核合意から離脱して対イラン制裁を復活したことを受け、イラン側は米国以外の当事国である英独仏中ロに、核合意維持のための方策を示すよう要求。応じられなければ60日ごとに義務の停止を広げていくと主張している。
米メディアは3日、フランスがイランへの150億ドル(約1兆6000億円)の信用供与枠を設定する代わりに2015年に結んだ核合意への完全復帰などを求める提案をしたと報じた。現状で米国が同提案を認めるのは難しいとみられるが、イラン側はひとまずフランスの努力を評価したもようだ。
ロウハニ師はテレビ演説で「第3弾」は6日から有効になると述べた。今回の措置はイラン核合意からの逸脱ではあるが、国際原子力機関(IAEA)との合意には違反しないと強調した。「イランの原子力エネルギー組織は、研究開発についての制限をすべて解除され、必要とされる研究開発にすぐに着手するよう命じられた」と発言した。
米の核合意離脱後も義務を守り続けていたイランはウラン貯蔵量の規定超過や濃縮レベルの引き上げに踏み切り、欧州への揺さぶりを強めている。