移動の未来 福岡が実験場 九大跡再開発、起点に
電動キックボード・ドローン・AIバス

2019/9/5 6:45
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最高時速24キロで進む電動キックボードは手軽に移動できる(福岡市)

最高時速24キロで進む電動キックボードは手軽に移動できる(福岡市)

電動キックボードにドローン(小型無人機)、人工知能(AI)バス――。福岡市が次世代モビリティーサービスを都市開発に生かそうとしている。起点となるのが九州大学箱崎キャンパス跡地(同市東区)で進む開発構想「福岡スマートイースト」。規制緩和をテコに再開発を計画する市のプロジェクト参画もにらみ、米国で急速に普及する電動キックボードの実証実験が8月末、市内で開かれた。

「足で押し出して一定のスピードになると、アクセルがかかるようになります」。8月31日、貝塚運動公園(福岡市東区)の一角で米バード(カリフォルニア州)の電動キックボード試乗会が開かれた。参加者は動かし方の講習を受けた後、次々とコースへ繰り出していった。

記者も試乗してみた。キックボードに片足を乗せた状態で地面を蹴り、右ハンドルにあるアクセルボタンを押し込むとぐいっと加速する。左ハンドルにはブレーキもあり、立ったままこがずに自転車を運転する感覚だ。福岡市内から参加した公務員の鮫島歩さん(32)は「思ったより簡単で楽しかった」と笑顔で話した。

電動キックボードは海外ではライドシェアサービスで普及し、家庭など最終目的地までの「ラスト1マイル」の移動手段に使われている。免許が不要で手軽に乗れるのが特徴だ。ただ、日本では免許が必要な原付き二輪車の扱いのため、サービス提供に至っていない。

試乗会はバードが福岡市、住友商事と共同で開いた。市は2月、内閣府での国家戦略特区会議で、福岡における電動キックボードの規制緩和を提案している。住友商事の担当者は福岡市を選んだ理由について「特区提案しており、新技術の活用にも熱心」と説明する。

7、8日には米ニュートロン・ホールディングスが運営する電動キックボードシェアサービス「ライム」も電子決済などのデジタルガレージと組み、貝塚交通公園で試乗会を開く。

いずれも念頭にあるののが、九大箱崎キャンパス跡地50ヘクタールの再開発だ。福岡市と九大は2018年にIT(情報技術)を活用した街づくり構想を発表。市は20年度に再開発事業者を公募し、自動運転バスや歩行を支援する次世代モビリティーの導入を検討するとしている。

箱崎跡地の再開発をにらんだ動きは電動キックボードにとどまらない。活発なのがドローンだ。5月、箱崎跡地でドローンベンチャー、トルビズオン(福岡市)などが自動運転での配送実験を実施した。ANAホールディングスはLINE Fukuoka(福岡市)などと組み、福岡市内で離島と九州本土を結ぶ海産物などの運送実験を複数回行っている。

西日本鉄道三菱商事が連携し、4月からAIを活用して効率的に配車するバス「のるーと」の実験に取り組んでいる。福岡市東区の千早駅と人工島のアイランドシティ地区を結び、利用者の行き先に応じて最適なルートを選んで運行する。

高島宗一郎市長は箱崎の再開発について「最先端の街づくりにつながる実験をやっていきたい」と話している。未来の街の移動・輸送を巡り、各社の動きが活発になりそうだ。(山田和馬)

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