イラン、核合意逸脱を加速 週内にも義務停止第3弾

2019/9/3 17:55
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【ドバイ=岐部秀光】米国との対立を深めるイランは週内にもイラン核合意の義務停止の「第3弾」を打ち出す。すでに規定上限を超えたウラン濃縮レベルの一段の引き上げなどを検討している。核合意存続のための対策でイランが求めた9月上旬の期日を前に、欧州側は打開策を示せていない。イランは段階的な合意からの逸脱で譲歩を引き出そうとするが、徐々に強まる挑発的な行動には危うさも増す。

イランはウラン濃縮レベルの一段の引き上げなどを検討する(2日、モスクワを訪問したイランのザリフ外相)=ロイター

イランはウラン濃縮レベルの一段の引き上げなどを検討する(2日、モスクワを訪問したイランのザリフ外相)=ロイター

欧州でイラン問題の対応の中心となっているのはフランスのマクロン大統領だ。米政府がイラン産原油の禁輸でイタリア、ギリシャなど一部にみとめていた適用除外を5月に撤廃したことを受け、あらたに150億ドルの信用供与枠を設定することを提案しているとされる。これはイランの外貨準備のおよそ15%に相当する金額だ。ただイラン包囲網づくりを急ぐ米国がこれを認めるかどうかは不透明な面がある。

マクロン氏は8月31日にイランのロウハニ大統領と長時間にわたり電話協議した。イラン外務省報道官は2日、欧州側の出方次第では「第3弾」の実行を中止する可能性もあると述べた。イランのアラグチ外務次官が今月、パリを訪れ仏当局と協議を重ねている。

トランプ政権が核合意から一方的に離脱して対イラン制裁を復活させたことでイラン経済は大きな打撃を受けた。イランは米国以外の核合意当事国がなんらかの対応を取らなければ60日ごとに合意の義務停止を広げていくと警告している。

「第3弾」でイランは4.5%まで引き上げたウラン濃縮度を、さらに20%にすると表明する可能性がある。合意で認められていない次世代の遠心分離機の設置に動くことも選択肢だ。

いずれも核合意の柱である「ブレークアウトタイム(核爆弾製造までにかかる時間)」に影響をおよぼしかねない重大な違反となる。イランに同情的だった欧州もイランを支持できなくなる可能性がある。

一触即発の事態にまで緊迫した米国とイランの対立をやわらげようと、各国が仲介に乗り出している。マクロン氏は9月にロウハニ師が国連総会出席のために訪米するタイミングでトランプ米大統領との会談を実現させようと調整に奔走する。

ただ3日に議会で発言したロウハニ師は「米との協議については多くの提案があるが、われわれの答えはノーだ」と述べ、トランプ氏との対話に消極的な立場を示した。

イランは7月1日に第1弾として低濃縮ウランの貯蔵量が規定を超過し、同8日に第2弾でウラン濃縮度を核合意の上限の3.67%より引き上げると発表していた。国際原子力機関(IAEA)が8月末にまとめた報告書によると、イランは低濃縮ウランを規定を2割上回る約240キログラム貯蔵し、このうち約25キログラムについて濃縮度が4.5%に達した。

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