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米、アフガン和平調整急ぐ 5千人撤収で大筋合意

米大統領選へ成果急ぐ

アフガニスタンではタリバンによる攻撃が相次いでいる(3日、首都カブールの爆弾テロ現場を歩く警察官ら)=ロイター

【ワシントン=中村亮】トランプ米政権がアフガニスタンの和平協議の詰めの調整を急いでいる。反政府武装勢力タリバンとの協議でまず4カ月半で5千人の米兵を削減する案で大筋合意し、治安悪化を懸念するアフガン政府にも了解を迫る。米大統領選に向け米軍撤収を成果としたい考えだが、タリバンはテロ攻撃を続け交渉の主導権維持を狙う。2001年に始まった戦争の終結は見通せない。

米国務省のハリルザド・アフガン和平担当特別代表は2日、アフガンの首都カブールでガニ大統領と会談した。8月22日~9月1日のタリバンとの9回目の和平協議を踏まえ大まかな合意案を説明した。アフガン大統領府の報道官は「合意案が戦争終結につながるか精査し米国に見解を伝える」と述べた。ロイター通信によると2日以内に米国に見解を示すという。

米政権はまず米軍撤収や停戦のあり方についてタリバンと合意し、将来のアフガンの統治体制などについてはタリバンとアフガン政府の直接交渉に委ねる方針だ。

ハリルザド氏は2日のアフガンメディアのインタビューでタリバンとの交渉について「基本合意に達した」と発言。合意から4カ月半以内に5つの軍事基地から5千人の米兵が撤収する案でタリバンと折り合ったと述べた。1万4千人規模の米兵を段階的に削減し、早期に完全撤収させる。合意に合わせ一部地域で戦闘が減るとの見通しも示した。

ハリルザド氏はアフガン政府が合意案に難色を示せば「問題を引き起こす」として「アフガン指導部はこの機会に利益を享受すべきだ」と受け入れを迫った。国務省当局者はタリバンと国際テロ組織アルカイダなどとの断交を念頭に「米国が監視や検証する枠組みを盛り込む」と指摘した。タリバンの合意履行を疑うアフガン政府を説得する思惑が透ける。

アフガン政府は治安悪化につながりかねない米軍撤収に慎重だ。ガニ大統領は米・タリバンの交渉が本格化した1月末に「長期に及ぶ外国部隊の駐留を望むアフガン人はいないが現時点では必要だ」と強調した。

アフガン政府内には米国が自国優先の交渉を進めたとの不満もある。オバマ前政権は和平協議にアフガン政府の関与を主張し、タリバンが拒否したため協議は進まなかった。トランプ政権は公約だった海外駐留米軍の撤収を急ぐため、18年夏ごろからアフガン政府の頭越しでタリバンと直接交渉してきた。

米国はタリバンとの合意後は、アフガン政府や市民団体などで構成するアフガン代表団がタリバンと恒久的な和平や統治体制について直接協議するよう提案している。すでにノルウェーの首都オスロなどでの協議に向けた調整が始まったが、タリバンはアフガン政府が米国の影響下にあると批判してきた経緯がある。

タリバンは米国との交渉の最終段階でも戦闘を続けている。カブールで2日夜、16人が死亡し119人が負傷した爆弾テロでは、タリバンが犯行声明を出した。8月31日にはアフガン北部のクンドゥズでも大規模な襲撃があり、AP通信によると市民を含む16人が死亡した。

タリバンは米軍撤収まで戦闘をやめない意志を示すとともに、将来の統治体制をめぐるアフガン代表団との協議で優位に立つ狙いがあるとみられる。一方でタリバンの内部にも対米交渉に反対する勢力がいるとされ、一枚岩ではない。

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