嶺北住民も初の避難参加 福井で原子力防災訓練

2019/9/3 6:30
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福井県で8月30、31日、原子力総合防災訓練が実施された。例年この時期にあるが、今回は県の広域避難計画要綱の策定後、初めて関西電力美浜原発での事故を想定。関係機関や住民ら約8800人が参加した。原発から半径30キロ圏内にある越前市、越前町、南越前町の嶺北3市町でも初めての住民避難があった。

31日午前11時すぎ、坂井市の春江中コミュニティセンターに続々と訓練参加者が集まってきた。各地区の自治会を通じて応募し、越前市と越前町から自家用車やバスで避難してきた住民たちだ。

福井県の原子力総合防災訓練で避難場所に到着する住民ら(福井県坂井市の春江中コミュニティセンター)

福井県の原子力総合防災訓練で避難場所に到着する住民ら(福井県坂井市の春江中コミュニティセンター)

「今まで意識することがなかったが、避難の流れが分かった。地域の避難訓練にも取り入れなくては」。越前市の白山地区で自治会役員を務める橋本弥登志さん(65)はこう話す。自家用車で2時間をかけ移動してきた。「意外とスムーズに来られたが、実際はもっと混雑するのかな」

10年以上越前市に住む女性(49)は高校3年と中学2年の娘がいる。「原発に近く、家族もいるので不安に思っていた。避難の仕方が分かって少し安心した」と話した。

今回の訓練は30日午前9時ごろ、美浜町で震度6弱の地震が発生し、同午前11時ごろ、美浜原発で原子炉への注水が一部不能に。翌31日の午前8時45分ごろ、放射線量が一定数値を超えたため、防災無線で告知のうえ半径30キロ圏内の「緊急時防護措置準備区域」(UPZ)の避難が始まったとの想定だ。嶺北3市町を含むのは初となる。

住民避難に参加したのは敦賀、小浜、越前各市、若狭、南越前、越前各町から、計約1000人。避難場所は越前市の住人は坂井市など、県の広域避難計画であらかじめ決めている。訓練参加者は近くの小学校などでヨウ素剤の配布やスクリーニングを受け、避難場所に移動した。自力での移動が難しい場合は、ヘリなどでの移送もあった。

高浜と大飯の事故を想定した昨夏の訓練で住民への情報提供が不十分だと指摘されたのをうけ、県は事故状況や道路状況などを発信する訓練専用サイトを作成。ただ避難者の中には「知らなかった。どうやって見るのか」と係員に問い合わせたり、「スマホを持っていないから分からない」と話したりする人もいた。

「なにしろ初めてなので、どうしてここに避難するのか説明がもう少しあれば」と戸惑う声も聞かれた。毎年訓練のあった嶺南地区とは違う課題も浮き彫りになった。

訓練後に講評する杉本達治福井県知事(福井県美浜町)

訓練後に講評する杉本達治福井県知事(福井県美浜町)

県庁の対策会議では関西電力の担当者が事故状況を詳しく説明した。関西電力でも同日に事故対応訓練をしており、双方の訓練進捗状況を共有するなど初めて連携した。

杉本達治・県知事は訓練後、「避難や周知の仕方など足りなかった部分を検証していく。外国人への情報伝達など課題もあった」と述べ計画見直しなどを進めるとした。

(鈴木卓郎)

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