5G、製造業の現場へ ファナック・日立が工場無線化

2019/9/2 19:05
保存
共有
印刷
その他

次世代通信規格「5G」を製造業の現場に活用する動きが広がり始めた。ファナック日立製作所NTTドコモは2日、5Gを活用した製造現場の高度化を共同で検討すると発表した。生産機器間の通信を完全無線化することなどをめざし、実験を始める。海外でも事例が増えているが、今後はセキュリティーの確保などが課題となる。

5Gは2019年が「商用化元年」とされ、米国や韓国などでサービスが本格化。日本は20年春から商用化が始まる。

ファナックなど3社の実証実験は2019年9月~21年6月までを予定。ファナックの本社工場(山梨県忍野村)と、日立の大みか事業所(茨城県日立市)で行う。それぞれ自社で実施し、ノウハウを3社で共有する。

2社は工場内で5Gの電波を送り、電波の強度などを調べる。そのうえで、工場内の機器の制御を完全無線化できるか検証する。これにより、生産機器の一括制御や保守管理の効率化、現場のレイアウトの自由度の向上などが可能になると期待している。

ファナックと日立は自社工場や顧客に対して、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」サービスを提供しているが、有線での機器間の接続も多い。5Gは高速・大容量で多数の端末との同時通信に強みを持つため、IoTの品質向上にもつながると見込む。

3社の連携はNTTドコモからの提案で実現した。共同での他社への5G関連サービスの提供については未定という。

5Gの活用例は他にも出始めている。工作機械大手のDMG森精機は19年秋にも、伊賀事業所(三重県伊賀市)に5Gの基地局をKDDIと共同で設ける。事業所内の約150台の自社の工作機械をつなぎ、工作機械の保守・管理や遠隔操作などの応用を探る実証実験を始める。

今年4月に開かれたドイツの産業機械見本市「ハノーバーメッセ」でも5G関連の展示が相次いだ。独ボッシュは5G対応の3Dプリンターを展示。配線に制限されず、柔軟な生産ラインの組み替えができることを提案した。独アウディもスウェーデンの通信機器大手エリクソンと、5Gを利用した協働ロボットを展示した。

一方で今後の課題もある。ファナックの稲葉善治会長は5Gを活用した機器の制御について、「通信が遮断されたときの安全確保などの品質管理が必要」と語る。通信時におけるセキュリティーの確保ができるかを不安視する声も多い。このほか、5Gは4Gと比べて機器や利用コストが割高になりやすい面もある。

セキュリティーの課題解決に向けては、独シーメンスが生産データを工場の外に出さず、拠点内で完結する「プライベート5G」の開発を進めるなどの動きも出ている。5Gをどう活用するかでものづくりの競争力が左右される可能性がある。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]