独二大政党の得票率最低 州議選で極右が躍進

2019/9/2 18:15
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【ベルリン=石川潤】ドイツのザクセン州とブランデンブルク州で1日投開票された州議会選挙で、極右政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進した。メルケル政権を支えるキリスト教民主同盟(CDU)とドイツ社会民主党(SPD)は両州で得票率が過去最低となり、退潮に歯止めがかからない。メルケル政権の基盤は揺らぎ続けている。

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 「私は許しを請う」。シュタインマイヤー独大統領は1日、80年前にナチスドイツが攻撃し、第2次世界大戦の火蓋が切られたポーランドのビエルンでこう謝罪した。同じ日の夜、「よい仕事をした」と選挙結果に胸を張ったのは極右政党、AfDで選挙戦を率いたカルビッツ氏だった。

AfDは2014年の前回選挙と比べ、ザクセンで約3倍、ブランデンブルクで約2倍の得票率を記録し、両州で第2党に躍り出た。選挙戦終盤に独誌シュピーゲルがブランデンブルク州のカルビッツ筆頭候補とネオナチの関係を報じたが、旧東独2州の有権者の2割以上が「変革」を唱えるAfDを選んだ。

経済状況は改善しているものの、旧西独とは失業率や所得水準で格差が残る。難民が自分たちより手厚い待遇を受けているという疑念もくすぶり、既存政治に不満を持つ層が雪崩を打ってAfD支持に回った。

「複雑な心境だ」。1日夜、CDUとSPDの幹部は同じ言葉を漏らした。メルケル氏のCDUはザクセン州、連立相手のSPDはブランデンブルク州でドイツ再統一以来の第1党の座を死守した。だが、得票率は独再統一以来最低の水準で、手放しでは喜べない。

CDUとSPDの得票率は合計で両州とも約4割にとどまり、前回選挙から10ポイント以上低下した。AfDの台頭で旧共産党系の左派党が失速する一方、都市部で環境政党の緑の党が票を伸ばした。

今後の焦点はCDUとSPDの退潮が続く中、与党内の大連立解消論を抑えられるかどうかだ。SPDでは連立維持派のナーレス党首が5月の欧州議会選挙の敗北で辞任した。「大連立政権への参加が党の存在感を失わせている」との声があり、10月の党首選で離脱派が選ばれれば、メルケル政権崩壊の危機が迫る。

SPDの党首選に名乗りを上げたショルツ副首相兼財務相=ロイター

SPDの党首選に名乗りを上げたショルツ副首相兼財務相=ロイター

SPDは1日に党首選への立候補を締め切った。副首相兼財務相で連立維持派のショルツ氏が知名度で一歩リードする。ただ、他の候補の多くが連立離脱派とみられ、10月の投票で過半数を得る候補がいなければ決選投票が行われるため、予断を許さない。

ショルツ氏は1日夜、ブランデンブルク州の結果を受けて「我々は選挙に勝てる。これが今日のメッセージだ」と党勢回復に自信を示した。SPDは党首選の結果を踏まえ、12月の党大会で大連立にとどまるかを最終判断する見通し。連立が崩れれば、解散・総選挙も視野に入る。

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