羽田国際線、成田に迫る すみ分けで需要取り込みへ
増便配分先を正式発表

2019/9/2 23:34
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国土交通省は2日、2020年3月に予定する羽田空港国際線の増便(1日50便)について就航先や国内航空会社への配分を正式発表した。羽田は今回の大幅増強でビジネス客などの取り込みに向け、本格的な国際空港としての基盤が固まる。成田空港は格安航空会社(LCC)などの利用を増やしていく方針だ。羽田と成田がすみ分けをして、幅広い航空需要を取り込む。

羽田の国際線増便は、米軍が管制する横田空域で旅客機の利用が認められ、都心上空を通過する新飛行ルートの導入に伴うものだ。20年3月29日から運用が始まり、国際線の発着数は現在の1日約80便から7割増える。東京オリンピック・パラリンピックで増加する訪日客の受け入れに大きな役割を果たす。

国交省は各国の航空当局などと調整した結果、9カ国・地域に割り振った。米中のほかに、ロシアやオーストラリア、インドなどが含まれる。米中以外は羽田への新規就航になる。

50便のうち25便は国内の航空会社に割り振る。全日本空輸(ANA)には13.5便、日本航空(JAL)には11.5便を配分する。過去の発着枠の配分では経営破綻したJALへの公的支援が業界の競争環境をゆがめ、収益力の格差を広げたとしてANAに優先的に配分した経緯がある。今回は輸送需要などをもとに両社に均等に近い形で割り振った。残り25便は外国の航空会社に割り振られる。

今回の増枠で羽田の国際線の旅客数は年間700万人増えると国交省は試算する。単純に18年の実績と足せば約2500万人に上る。現状は倍近い差がある成田との差はかなり縮まる。

羽田の容量拡大は今回で一区切りとなる。政府は羽田と成田の両空港で、増え続ける首都圏の航空需要に対応する方針だ。成田も来年に発着枠を増やす計画があるほか、20年代後半を目指した第3滑走路の準備も進む。

今後も重要な位置づけが変わらない成田だが、米航空大手のデルタ航空が今回の増便を機に就航便を羽田に移す形で撤退を決めている。

羽田は東京都心からアクセスが良いことが強みだが、航空運賃は高めになる。成田はアクセスで羽田に差があるものの、運賃が比較的安い格安航空が多く就航することになりそうだ。ビジネス需要や運賃よりアクセスを重視する人は羽田を利用し、成田は旅行などを安く済ませたい人のニーズを取り込むといった役割分担が考えられる。

成田では格安航空の増便が相次いでいる。マレーシアのエアアジアXは11月にクアラルンプールを結ぶ路線を新規開設する。JAL傘下のLCCジップエア・トーキョーは20年にバンコク線から運航を始めて、21年度にも北米路線の開設を目指している。

羽田と成田は補完関係にあり、競争相手はアジアの有力空港という構図だ。アジアの主要都市と国際線の年間旅客数を比べた場合、香港は7200万人、ソウルが6600万人、シンガポールの6200万人に対して、東京(羽田・成田)は5千万人と現状では見劣りする。

今回の増枠で利用者数はこれらの主要空港に迫る水準となるが、国際空港としてのネットワーク力を示す就航都市数には課題が残る。東京の100超に対して、アジアの有力都市はおよそ150都市に及ぶ。200を超えるフランクフルト、300を大きく上回るロンドンにははるかに及ばない状況にある。

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